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二軒目

ホコリと胡散臭さ漂う地下室


後ろ手に縛られ地下室の椅子にポツンと座らせられる。

昼間だというのに、光も往来の賑やかさも届かない狭い部屋、

幾つかの蝋燭がかざされ、暗鬱空気を醸し出している。

心臓が早鐘のように打ち立てている。


ふと、床がホコリっぽいのに、床面が綺麗な点に気が付いた。

シミや汚れ一つないとうことは、この部屋は拷問目的の場所というわけではないらしい。

僕はといえば、拷問にかけられるとばかり思ってた。


「さて、オマエは名前は?」

「日枝源…です」


団長さんが目を細めて言う。

「もう一度問おう、お前の名は何だ?」

「……」

「わかった、ヒェダゲン。君には、スパイと密入国の嫌疑がかけられている。これに対して何かいうことは?」

「観光客です」


「そうか、君が異邦人であることは十分に理解できる。

君は旅人なのだな」


アネゴ団長はおもむろに『デボネア学習帖』を読み上げる。


「薬草価格、ノム商店 5R、ポール雑貨8R、ザリ薬品店7R、他にも食料品から骨董品、武具、果ては貴族向け服飾や衣装の金額までつぶさにか書き留められている。

いやぁ、君はマメな男なのだな行商人の子弟でも、なかなかこうはいかない」

「ありがとうございますクセなんです」


「それだけじゃない、私が感動したのはこのマスケアスの詳細な地図だ、市街にも案内目的の地図はあるが、裏通りや袋小路まで、実際に歩測しなければこれ程のものはつくれまい。

君は絵の才能にも恵まれているようだ、羨ましい限りだ」

「絵は、小さい頃からの趣味でした」


「そうか、一度ご教授願いたいくらいだな、

あともう一つ、この国の守護たる騎士団にも興味があるようだ、各騎士団の名称、由来や装備、さまざまな角度から調査されている、私が盗賊ならよろこんでこの手記を買い求めるだろう」

「それを売るなんてとんでもない。」


そう僕が言ったのを聴いて、団長は手記を僕の膝にもどした。


「君は、商売の成立を望む商人でも、

貴族に取り入ろうとする芸術家でも、

騎士団にあこがれる少年でもないらしい

私達は、君が何の為にこんな事をしたのかが知りたいのだよ。」


──っ答えられるわけない‼、アブラ汗と共に

ここ何週間かの記憶がフラッシュバックしてくる。



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