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大英雄のスキルに目覚めた俺を追放!? 〜無能なのは俺じゃなくて、このスキルなんだが!!〜  作者: 夕暮れタコス
第二章 追放者達

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第16話 善行集め

 煙のように姿を消した女。しかし気配はしっかりと感じられる。


「テス、姿を消すスキルだ。近くにいるぞ……」


 ウィンドウの警告。そしてそれが右後へ移動した。

 腰の剣を抜いてその方向へ一閃。


 何もない空間から鮮血が吹き出す。


「チッ! 勘が良いじゃない!」


 虚空から聞こえる女の声。気配が遠退く。

 だがウィンドウは赤く明滅し、火薬の臭いが鼻を刺激した。


 ――爆弾!?


 俺は身を投げて地面を転がり、姿勢を低くする。直後、空中で閃光と火花が爆ぜる。熱気とむせ返るような火薬の臭いに包まれる。


 それが収まると、顔を上げ、心の中でウィンドウに問う。

 ――奴はどこに!


 ウィンドウが明滅。だけどその意図を掴み損なった。

 再び虚空へと一閃した俺の肩や腹に短剣が刺さって姿を現した。


「ぐっ!」

「リングスさん!! コイツっ!」


 テスが虚空へ蹴りを放つ。

 鈍い打撃音。地面を転がりながら、女が姿を現した。


「ガハッ……な、なんで!?」


「さぁ、何ででしょうねぇ?」

 テスが威圧的な笑みを浮かべながら歩み寄る。

 まぁ魔力の力だろうな。

 あの刺客は、まさか彼女が魔族で、魔力を扱えるだなんて考えもしないだろう。テスの前では姿を消すスキルなんて子供騙しってわけだ。


 テスが女の手を踏みつけながら問いかける。


「で、貴女は何なのですか? 何故追放者を狙うのですか?」


「な、何って罪人を狩ってるだけよ! 私は善行を集めて騎士隊に正式入隊したいの!」


「正式? ってことはアンタは騎士隊見習いか?」

 女を見下ろしながら冷たく言う。


「そ、そうよ。騎士隊に追放者狩りの特命が出て、私達見習いもそれに参加する権利を与えられたのよ! ね、ねぇ、アンタ達のことは黙っておくから見逃してよ! 私だって騎士隊に入って秩序を守りたいのよ!」


 テスの表情に迷いが浮かぶ。

 烙印を押された者は罪を犯した者と言うことになる。一度野放しにしたとはいえ、それを狩る事は騎士隊の職務としては矛盾はないのかもしれない。


「お願い! 騎士隊に入るのが幼い頃からの夢だった! 小さい弟達に自慢したいの!」


 だけど俺は狩られるような事をした覚えもない。

 でもここでコイツを見逃す事は、テス達を危険に晒す。

 だから、これは俺の役目だ。


「ねぇ! お願っ――」

「リングス……さん」


 どこか哀しそうな顔のテスの横に立ち、剣を女の首に突き立てた。


 ※※※


 マァルの森に着いたのは朝方だった。

 帰り道は言葉数も少なく、早足だった。

 俺はこれから騎士隊に狙われる身だ。

 魔獣や魔物の相手がどれだけ心理的に楽だったか。


「もう、後戻りはできない」

 自然と独り言が漏れ出る。


「私も共犯者です、リングスさん」

 そう言ってテスが俺の手を握ってくれた。

 温かい手。彼女と紡げたこの奇妙な縁を、そしてこの温もりを失わないために……。


 俺はこの戦争を終わらせて、大英雄となる。

 そのためにもっと強くなる。


 そう心に誓いながら、マァルの庭へと帰ってきた。


 【魔θπつけてςζる】


 人を殺めた罪悪感と見えない先への不安に憔悴した俺の頭は、ウィンドウが何かを警告していることにも気づかなかった。

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