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龍宮の彼岸花  作者: ABC13
2/6

村の祭り(上)

「キャァァァァァー!」



この世界は、残酷だ。


貧富,身分の差は激しいし、属性差によってもヒエラルキーがある。


でも、こんな世界でも美しいと思ってしまう私は、どうかしてるのだろうか┈┈┈┈┈。





┈┈┈┈┈┈┈「助けていただいて、ありがとうございます!」


助けた深緑の着物の女性が深々と頭を下げる。


「いえいえ。さっきのは小さい炎怪だったんで、大丈夫ですよ」


「怪異の“型”が分かるんですか!?」

「それに、あの払い方…」


この世の人間に属性があるように、怪異にも“型”がある。

炎怪・水怪・地怪・風怪…。

私にはなぜかその型が“分かる”。


そう、分かるのだ。



「はい。さっきは水をかけただけです」

「炎怪は水に弱いから」


「み、水だけで…!?」


「はい」


型は本来分かりにくく、倒した後浮き上がる“色”で分かる。

他の人には、普通の怪異の色が全て灰色に見えているようだが、私にはその色が最初から見えているので、簡単な対処法なら分かる。


だから、さっきの怪異が炎怪と分かり、水をかけて退治することができたのだ。


「おねーちゃんすごーい!」


女性の連れていた童が私に言い寄る。

その無垢な瞳が私の心をじんわりと暖かくさせる。


「貴方のような優秀な方なら、やっぱり属性“風”ですか?」


あぁ、“ヒエラルキー”。

属性は、風・地・水・火の順に優秀とされている。尤も、私はなんの属性も持たないのだが…。


「あー、用事を思い出したので帰りますー」


もう周りに怪異の気配はしないから、大丈夫だろう。それより、今日は村で祭りがある。


「えっ、そんな!」


「怪異は心の()()から生まれます。」

「どうか気を引き締めて」


そう言い残し、村のふもとまで走ってゆく。


怪異は、心の隙間から生まれる。

これは御伽噺だが、怪異はかつて、先祖の欲望により出来たとされている。

だから様々な欲望を欲する心の隙間に入り込み、寄生する。

そこで形を得て、()()となるのだ。


怪異はその主と同じ型になる。

さっきのはきっと女性が火属性だったのだろう┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈




「おぉ、碧!来てくれたんか!」


「おっちゃん久しぶり。で、今日は何すればいいの?」


今日の祭りは一年に一度の奉納祭。

ここら一帯の神様に一年の感謝を、舞や米を奉納する事で伝える日だ。


私はこの祭りが大好きだ。なぜなら、皆が生き生きとしていて、夜空に輝く星がより一層綺麗に見えるから。


「お好み焼き!焼いといてくれ」ニッ


「了解ー」


この頭皮が寂しくなってきているおっちゃんは、私が子供の頃から世話になってる荷車屋の店主だ。


おっちゃんは毎年、祭りになるとお好み焼き屋を出していて、ここのお好み焼きは絶品も絶品!

私は味にうるさい方だが、このお好み焼きだけは、昔から文句がつけれない。


私はこの味に惚れ、おっちゃんに弟子入り。

今は毎年祭りでお好み焼きの焼き台に立っている。


そんなこんなでお好み焼きを焼いていると、段々と辺りが暗くなっていった。客足も着々と増えていく。




そして、灯篭が灯り始めた頃、始まりの合図の花火が打ち上がった。






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