ご一緒に、エルフ二人は如何ですか?
短編!
ある日、世界に戦えと強制された。
俺――ことセカイは、現代人である。スマホやゲーム、そんな娯楽が溢れている世界から、一変。何も無い戦争の世界に送り込まれた。
もちろん神にあってさ、言われたよ。【世界を救って欲しい】ってさ。
でもよ? 「なんで俺なの?」って聞いたら【くじ引き】だって言われる始末。
…そんなのやる気なくすじゃん? 親に宿題やれって言われたら、やりたくなくなる現象と同じ。
それでも、俺はやり遂げたよ。理由は二つ。
一に、死にたくないから。
二に、ゲームがしたかったから。
女神に"世界を救ったら、元の世界に返してもらう"って言う約束の元、旅に出かけましたとさ。
元々fpsの配信者やってたから、それなりに銃の使い方は分かっていた。魔法が使えて、勝手にリロードするから、俺は標準を合わせればいい。
はぁ、でも旅は簡単じゃなかった。
最終目標は、魔王討伐。その障害も多かった。救えなかった人も多いし、国すら滅んだ所を見た。
それを見て、心が痛まなかったと言えば嘘になる。多少の罪悪感はあったよ。でも、俺がいようといなかろうと、どうせ滅んでいただろうから、そんなに病みはしなかったよ。
――で、今の状況は? と言われれば、【魔王討伐した直後】かな。
あらから五年の月日がたって、色んな仲間と旅した。時に喧嘩で別れ、納得で別れ、死で別れた。
最大十五人居た仲間も最後には、【二人】になってしまったよ。
「――!!」
死にかけで、泡になる魔王がなんか喋っている。あいにく君の音量魔法で、よく聞こえないんだよね。
何も喋らない俺に、多分罵詈雑言? を浴びさせてこの世界の悪は消滅した。虹色の泡になって消える姿は美しかった。
「終わったね。セカイ☆
」
「そうさな。随分と…時間がかかったさな」
「――お前ら、最後までありがとな」
後ろから、エルフ二人が励ましてくれた。名をローリンと、ラムダ。
軽い口調で、何故か語尾に☆が着いてそうな女の子が、ローリン。(巨乳)
唐辛子を思わせる赤い髪に、軍服のような服を着た所謂エリートと言うやつだ。一言で例えるなら「無邪気」
そして、クールでマッドサイエンティストのラムダ。(胸はまない――ぐはッ! すいません! 殴らないで!)
白髪で雪原を絵に書いたようなツヤの神。だが技術者なので、白衣のような服を着て、いつも不敵に笑っている。一言で例えるなら「非常識」
だが、二人はこんな俺を最後まで、支えてくれた友人だ。ローリンは、人攫いに襲われそうな所を助けて、ラムダは、人々を騙して捕まりそうになったところを助けてから、着いてきてくれた。
「二人とも、ありが――」
自分の足元に、魔法陣が輝き始める。どうやらお別れの時間らしい。最後に国に戻って、賞賛されたり、賞賛されたり、賞賛されたかったな。
一応、魔王を倒したパーティーには、使い切れない程の富と名誉が与えられるらしいから、俺がいなくなったあとも、彼女達は大丈夫だろう。だから最後は笑顔で――笑顔で。
「…泣いているぞ? セカイ」
「フフ。お前もな。ラムダ」
「うえーん! ざびじいよ! ぜがい!☆」
少しだけ涙を流すラムダと、ナイアガラのように号泣する二人の姿があった。
日本にいた時は、誰にも迷惑をかけず、きっと自分が死んでも誰も泣かないと思っていたが、俺は異世界の方がしょうに合っていたらしい。
下の魔法陣が大きく浮かび上がる。光が全身を包んでいく。
じゃあさよならだ。 ありがとう、世界。そしていつまでも一緒にいてくれた、戦友二人…よ。
◇◆◆◆
「んー! いい夢だったな」
次に目を開けると、俺はベットで横になっていた。周りを見ると、配信に使っていたパソコンや、昨日食べたカップ麺のゴミ。どうやら日本で間違いないらしい。
「そっか、俺は異世界から帰って…待って。それが夢じゃないよな?」
と思って、自分の体を見ると、直ぐに現実にあったとわかる。転生する前は、ぶよぶよだった俺の体が今じゃ、軍人のようにムキムキになっていた。
これは、異世界では娯楽がないので、隙を見ては筋トレをしていた結果である。
どうやら、俺の世界を救った行いや、あの戦いの日々は本当にあったらしい。
そう思うと、結構誇らしくて、顔がにやけてしまう。
「……ん?」
布団の中に、何が入っている。…なんか柔らかい。湯たんぽとか入れたっけ? 今四月だよ? そんなに寝ぼけてのか?
「なんで、、(布団をめくる)――は?」
湯たんぽがある。いや、湯たんぽ代わりになっていた物がある。赤い髪で巨乳、忘れるわけが無い、魔王を倒した戦友なのだから。
「ロー…リン!?」
「うん… あれ? セカイおはよぉー☆」
「なんでいるの?」
「んー? わかんない☆」
「だよね! ごめんね!」
そして俺の背中がこおる。もし、あの時日本に帰る時にローリンが巻き込まれたのだとしたら…ラムダも居るはずだ。
恐る恐る、後ろを振り返る。後ろの隙間には何もおらず、ほっとして俺は肩の荷を降ろした。
「…随分と遅い目覚めそな」
聞き覚えの声がした。マッドサイエンティストに似合う声。良く考えれば、俺が滅多に使わないコーヒーメーカーが動いていた。ギギギ、と首を動かす。
そこには――
「ラム…ダ」
「ん? 何故そこまで驚く? ローリンがいるのだから、私もいて当然よな(コーヒーを飲む)」
ラノベのような展開だ。異世界から帰還したら、オマケとしてエルフふたりがついてきた。
ここから、異世界ボケがある俺と、異世界人とのドキドキルームシェアが始まるのだった。
「では会議を始めます!」
「おお、いきなりの展開だな」
「そうだね! ☆」
二十分後、流石に状況を読み込んだ俺は、流石に何もしないわけには行かないので、会議を始める事にした。
とりあえず、この二人を返す方法は無いと思う。だって送ったの神だし。勇者と言えどできません。
頬杖をついてはぁ、とため息を着いた後、その手をテーブルに落とした。すると――
【ドカン!】
――大きな音を立てて、蒸気を発した穴ができる。
そう、俺の勇者の力は、まだ備わったままだった。これは大変面倒で、マグカップ持ったら壊れる。くしゃみしたら、窓ガラスは割れる。
てか多分、人にぶつかったら、その人遥か彼方に吹き飛ぶ気がする。
まず俺は外に出られない。そしてさらに面倒がこれだ――
「とりあえずローリン。魔法で料理を作ろうか」
「そうだね! ラムダ。作っちゃうよー☆」
「――ちょっと待てお前ら!」
面倒は、俺を含めて、三人が魔法が使えるという点。何が面倒って、俺がいた異世界は、魔法が曖昧で手を振るだけで発動するやつもあるんだ。
それこそ、腕を振って「ドラゴンを召喚する」とかもあるし、まぁドラゴンいないから不発だと思うがね。
「それで会議とは? 今お前が開けた穴を塞ぐのか?」
「違う。君達には、この世界の常識を学んでもらわにゃいかん。ローリンに聞く! もし悪いやつが前にいたらどうする!?」
「ぶん殴る!☆」
「――失格!!」
勘弁してくれ。ここじゃ俺達からしたら、人間は水風船に近いだろう。多分アン〇ンチなんてしたら、相手がこの世からバイ〇〇キンだ。
「まずな、この世界は人を殺しちゃいけません。殴っちゃいけません。やると捕まって、皆から冷ややかな目で見られます」
「なるほど!☆ そいつらをぶん殴れば――」
「ローリンの言う通りだ。もしダメなら私の新薬で!」
「――二人とも、失格!!」
あーダメだ。一回落ち着こう。そうだ、確かお茶がまだ残っていたはず。それを使おう。1回飲んで落ち着こう。
俺はおもむろに、席を立ってやかんをガスコンロに置く。えーと、ここから…五年立っているからなー。
「えっと、、どれを回せば…もうめんどい! 火の魔法!」
指を振る。爆炎が俺達を包み込んだ。それは大きく物を吹き飛ばし、全てを吹き飛ばした。
部屋の外から悲鳴が聞こえる。どうしよ、、大惨事だ。
「ポフ――二人とも大丈夫か?」
「ポフ――あぁなんとかな」
「ゲボ! 楽しかった!☆」
どうやら、俺も異世界にいてバカになったらしい。神様、ここからどう暮らせと?
マジで困った。だって今日は――俺の高校の入学式なんだよ!!!
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そうすると勇者のやる気が上がります。