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ᓚᘏᗢ 猫の手を借りたときの話 ᗢᘏᓗ

作者: 山目 広介

 猫の手を借りる。これは忙しい時の比喩表現だ。

 忙しくて、人手不足。そんなときには「猫の手も借りたい」という。まあ、猫の手を借りても意味がないだろうけども、少しでも移動の手間やら片付けやら何か出来ることやってくれたら助かるから誰かやって、という願い。

 そんな感じ。




 しかし、私は実際に猫の手を使用することに成功した。比喩ではなく、現実だ。夢でも幻でもない。

 ある日、忙しかったという訳ではないが、この「猫の手を借りる」ことが出来たのだ。




 それは猫を洗ってたときだ。

 去年から猫ノミ駆除用の薬である某フ□ントライン〇ラスが効果を発揮せずに猫ノミが増えて困っていた。仕方なく猫を週一で洗ってノミが動きにくい状態にしてから物理的に人の手で排除していることが続いている。


 私が猫を抱いてお風呂へと行ったときに、家族のスマホが鳴り響く。

 私は気にせず蛇口を捻り、お湯を出していた。

 そのとき家族がパニックになって助けを求めてきたのだ。

 その家族はメカ音痴。濡れた手でタッチパネルを押したら反応しないために慌てていた。

 私は「手を拭けば?」と返す。

 家族はそれに従い、エプロンで手を拭い画面に触れる。だがしかし、残念ながらスマホは反応しなかった。


 この時は気付かなかったが、動作しない原因はエプロンも濡れていたというのもあったのだろう。拭いてもまだ濡れていたからだ。

 私の手も濡れていたために、無駄かと思って自分では試さなかった。後で確認したら私は濡れた手でもスマホは反応したのだったが。


 さて、どうするべきか。

 タッチパネルは圧力式が昔使われていたそうだが、今は静電気で反応するんだと思われる。

 掌。

 指紋や掌紋などある場所。ウサギには、一部例外があるが、肉球がないらしい。だが犬や猫にはある。この肉球が人にとっての指紋や掌紋がある部位だ。

 黒人。差別というよりも区別として分かりやすくした黒人。ネグロイド。褐色のオーストラロイドとも違うが、彼らの掌や足の裏などの色は私たち日本人と違わない。爪の部分とかもそうだ。対比として白く見える掌。

 何が言いたいかというと、毛の生えている部分の皮膚とは違うということだ。


 長く書いたがその時は一瞬で判断した。


「よし、猫の手を借りようッ!」


 抱いていた猫の前足を握って、スマホの画面を押す。


「あ、動くんだ」


 スマホは問題なく、猫の肉球でも反応した。

 そして家族は無事に電話に出たのだった。



 これが私が猫の手を借りた出来事だ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白くかわいいエピソードでほんわかしました 本当に借りて役に立つ場面があるとはびっくりです!
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