第2話 その日常はあまりに尊く
唯との別れを告げホームルームも終わり授業が始まった。
とはいっても僕は授業が苦手だ。
あいつの元に行ってもよかったんだが不良だと思われるのも嫌なのでやめておこう。
いつも通り教師のつまらない話を右から左に聞き流し、
いつも通り眠ろうと机に体を突っ伏したのだった…
◇
唯「おはよ」
「朝ごはんは味噌汁とご飯と目玉焼きで頼む」
唯「それを叶えるにはまず同棲してからだね」
「引っ越すかぁ…」
唯「いつまでこの冗談続く?」
「朝ごはんが食えるまで」
唯「今夕方だし少なくとも明日の朝までは確実だね」
流れるように朝ごはん作ってくれと頼み、僕らは帰路に着く。
唯「いつから寝てたの?」
「多分2限から」
唯「よく寝るねぇ」
「寝る子は育つらしいからな、てかコンビニ寄ろうぜ」
唯「話の転換の仕方が限りなく頭悪いね」
日常を彩るような夕日が沈んでいく。
辺りが暗くなった頃雪が降り出した。
唯「いいね、なんだかロマンチック」
僕らはコンビニを出発し、再び帰路に着いたのだった。
そしてまた、いつも通りの日常が始まる
はずだったんだ。
いつもと違い何故か少し騒がしい人々の行き交う道を歩いている僕らの耳に、ひとつの泣き声が聞こえた。
唯「どうしたんだろ」
「なんかあったんかね」
唯「どうする?」
「ここで帰ったら気になって夜しか眠れないだろ」
「もちろん見に行くさ、迷子かもしれんしな、」
唯「そういうところ好きだよ」
泣き声の聞こえた方向にある狭い路地に僕らは入っていった。
◇
直ぐに泣いている子供を見つけることが出来た。
幼いのだろう、地面に座り、泣き喚いているが親の姿は見えない。
唯「迷子かな、ちょっと見てくる」
唯がその子供に駆け寄る、が子供は何故か逃げてしまった。
唯「ちょっと待ってよ」
そのまま唯は子供を追いかけて行ってしまった。
「全く何やってんだか…」
そういや唯は運動音痴だったなと思いつつ僕も唯を追いかけるのだった。
どうも、緋哉です。