第1話 未来予知は突然に
彼女は死んだ。
そう、死んでしまったんだ
純白の雪を桜のように真っ赤に染め上げて
死んだ人は生き返らない
そんな世界中の誰でも知ってる常識を
僕は拒んでしまったんだ。
『貴方が居ない』
そんな世界を拒んでしまったんだ。
これはなんでもない僕の願った美しい世界の物語だ。
…………
………
……
…
「ん…ぁぁ」
目覚まし時計の電子音が僕を叩き起こす。
「夢見がわりぃな…」
気分は最悪だった、そりゃ人が死ぬ夢を見れば誰だって気分は落ち込む。
だが気分が落ち込もうが通学電車は僕を待ってくれないので僕は支度を始める。
「めんどくさいな…」
学校なんて行く意味あるのだろうか
歯を磨きつつ鏡の中の不貞腐れた自分の目を見つめる。
「さっむ…やっぱ冬はやだな…」
冷たい水で顔を洗い、冴え渡った小さい脳で機械的に支度を続ける。
氷のように冷たいドアを開き駅までの道を辿る。
いつも通り駅まで歩き、電車に揺られ、次は学校に向かって歩く…予定だった。
いつも通りの日常を崩す騒がしい奴が現れるまでは、
???「やぁ!」
聞き覚えのある声が聞こえ、僕は突き飛ばされる。
「あっおはようございます」
適当な返事を僕を突き飛ばしたそいつにする。
???「相変わらず危なっかしい歩き方してんねぇ」
「主に危なくしてるのは唯だがな」
唯「大丈夫だって!ちゃんといい香りの線香あげとくから!」
「しっかりお供えもしといてくれよ」
馬鹿みたいな会話を繰り広げるその相手、
つまりこの馬鹿は宇奈月唯…僕の彼女だったりする。
「髪型変えたのな」
唯「これがウルフカットっていうやつらしい」
「へー」
唯「湊から話題振ったくせに恐ろしいほど興味無さそうだね」
そういや僕の名前は榊原湊、所謂リア充だ。そして先程も言ったが彼女はこの馬鹿だ。
馬鹿馬鹿言ってる割に僕はこいつのことがかなり好きだ、半年くらい前に告白したら、
唯「え、おkおk」
と軽い返事を貰えた。
あれからカレカノの緊張感というものをまだ味わっていないのだが、多分もう味わうことは出来ないのだろう。
唯「なんか馬鹿にしてる?」
「なんも言ってないんだが?」
「もう少し強く突き飛ばせばよかった」
「理不尽だ。」
この距離感は付き合う前から全く変わらない、とても心地よくていつも時間を忘れてしまう。
そうして僕らは電車に揺られ、だべりながら校門をくぐり、お互いの教室に入っていった。
どうも、緋哉です。
初めて小説を書いてみました。