表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
記憶の底  作者: イヌガミアイ
1/1

なつみの記憶

私がまだ小学校二年生くらいの頃だったと思う。

父が、近所の中華料理屋さんに連れていってくれた。

夫婦がやっているような、カウンターと小さな座敷しかない小さなお店。

「好きな物食べていいからね」

父が笑いかける。

「ラーメンがいい」

私は一番安い、ラーメンがいいと言った。

「なっちゃん、ラーメンだけでいいのかい」

「いいの。ラーメンが一番食べたいから」


父はラーメンを二つ頼むと、なぜか私の顔をじっと見つめた。

「なぁに。どうしたの」

「何でもないよ。なっちゃん、大きくなったなぁと思ってさ」

「なつはまだチビだよ。クラスでも前から三番目だし」

「そうかぁ」

父は何か思い出すようにそう言うと、運ばれてきたラーメンを静かにすすり始めた。


「なっちゃん、おいしいかい」

「おいしいよ。とっても」


それが父との最後の記憶。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ