表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さようなら 新たな終幕  作者: 天天ちゃそ
第二章【ヘヴン編】
73/115

七十二話【絶望の距離】

投稿時間を大幅に通り越してしまったこと、非常に反省しております。申し訳ございませんでした。明日からは計画的に、時間に間に合わせるよう書きますので、どうかこれからも拝読よろしくお願いいたします。

 結界内に足を踏み入れ、生きていることを実感する。


「ここまで長かった……ほんとうに生きてるんだよね……?」


 感覚を隅々まで感じ、大きく深呼吸する。


 とりあえず帰還を急ぐため、感動にふけるのは異形質(イギョウシツ)を発動して走りながらにしよう。


(まだ全開は無理だけど……多少の出力なら……)


 発動の意を示すと、黒い紋章が各部位を包み込む。ふと足を見たが、玄武型(ケレース)と戦った時の紋章と少し違う気がした。


 今だからどうでもいいと思えたが、僕の不明な異形質(イギョウシツ)が更に不明になったのだ。無視していい問題ではない。


(道は……全く分からない。分岐多いなぁ……)


 結界外もそうだったが、森は分岐が非常に多い。ヤケクソで進んだら絶対迷子になる。

 それは過去に体験した事があるので、今はそれを警戒して知り合いの存在感を辿るようにしている。


(家にいるのはメイ様くらいか……まぁメイ様なら何とか感じ取れるはずだ……)


 目を瞑り、感覚を研ぎ澄ます。王国全域に渡るほどの範囲を持つ存在感感知(エグド)は実用性抜群だ。戦闘にも使えるし、人探しにも使える。

 修行時代にも僕を助けてくれた優れ機能だ。どこで手に入れたのかは未だに謎だが。


 思えば、ここであった事は結界内の世界では考えられない事だった。


(うん……近くではないな。範囲を拡大してみるか……)


 ここに来る時、エネットは空間転移を使っていた。普段なら徒歩移動のエネットだが、それでも空間転移を使っていた。ということは、間違えなく近距離から中距離はない。


 エネットの距離感はいまいち掴めないが、1000kmはゆうに超えているはずだ。


(拡大……拡大……かくだ……あった)


 十回ほどの拡大を得て、ようやくその存在感を感知した。誰のものかは分からないが、その存在感の感覚を探るからに、エネット宅である事は確実だろう。


(そこからここまでの距離は……ええっと?)


 辿った存在感を元に、そこまでの距離を感知した。それによって導き出された距離は……


(え?いやいや、さすがに有り得ないでしょ。だって、拡大を十回使っただけだよ?さすがに……ねぇ?)


 その距離、およそ20000km。


 想像の約20倍。


「待ってくれ。いや待つ必要は無いけど……2000km……だって?」


 思わず声が出てしまった。いや、この状況に陥った場合で声を出さずにいられるだろうか?無理だ。


 ふと見上げた空には朝日が昇っている。という事は、朝がやってくるのだ。


 朝が来るまでに家に帰らなければ、美音(みおん)やメイ様を心配させてしまうに違いない。


 思い出すと涙が出てくる。あの家を出て、しばらく美音(みおん)の顔を見ていない。修行時代は死ぬほど我慢していたが、この王宮に来てから、密か美音のあとを追っていたのは秘密だ。


(いやそうじゃなくて!早く帰らないと色々まずい……予定が狂う!)


 本題はエネットを探し出して王宮に連れてくることなので、ここで無駄な時間を過ごしている暇はない。

 確かにエネットはいないが、マキがどうにかしてくれるだろう。


(まずい……思考が死んできてる……早く家に帰らなければ……!)


 悩んでいてもしょうがない。今はマキを王宮に連れていくことが最優先だ。


 紋章は既に足を包み込んでいる。準備は万端だ。


「頼むよ……目標は四時間。それ以上は絶対に許されない……!」


 見る限り夜明けまで一時間はきっている。美音(みおん)の起床は七時。二時間オーバーするが、さすがに二時間で20000kmを走る力量は残っていないし、そもそもそんな速く走れない。


 マキなら半分以内の時間で完走するだろうが、マキは規格外すぎるので比較してはいけない(比較したのは自分だけど)。


 気を取り直し、地に足をつけ踏み込む。体力は先程の世界剣(ディーヴァ)……いや、マキの力で完全回復している。


(最後まで保つ?いや、保たせるんだ!)


 ここに来て弱音なんて吐いてられない。全力なんてこの足で超えてやる。異形質(イギョウシツ)だって、この経験で少しくらいは強くなってるはずだ。


 とにかく、ここで止まる訳には行かないんだ。


(3……2……1……スタートっ!)


 踏み込んだ足で思いっきり地面を蹴る。と共に、後ろから声が聞こえた。

読んでいただき、ありがとうございます。

作品が面白いと感じたら、ブックマーク登録、☆を5押していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ