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さようなら 新たな終幕  作者: 天天ちゃそ
第二章【ヘヴン編】
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六十三話【参上】

今回少し短めです。その分、64話長くしたいと思っています。

 蒼天に染まる空、少し薄暗い空気、目の前に見える玄武型(ケレース)……絶体絶命の状況だ。


(あぁ……そろそろだ)


 僕の目の前まで来た 玄武型(ケレース)は、その大きな足を、広大な大地に向け、振り上げた。


 測定不能の体重から繰り出される一歩は、力を入れずとも大地を粉砕する。つまり、耐えることは不可能だ。


 防御も受け身も取れないこの体なら、尚更耐えることはできない。諦めも肝心とはこのことだろう。


 しかし、諦めることはできない。折角、あの危機的状況から生存したのだ。これから、やらなければならないことは、数えられないほどある。


(ちくしょう……!この体さえ動けば……逃げられたかもしれないのに!)


 自らの非力さを、心から恨んだ。拳を握ろうにも、握る力すら残されていない。もう終わりかと思われた、その瞬間。


 正面から、ここに向かって接近してくる存在感を感じた。感じたことのある存在感だ。


(マストルか……!頼む……早く来てくれ!)


 玄武型(ケレース)と僕の距離は、既に10mをきっている。目視できない距離に存在感を感じるので、間に合うかどうか分からない。


(早く……!早く!)


 しかし、5mをきっても、その姿は現れない。


(まずい……間に合わ───)


 今度こそ終わったかと思われた、その刹那。


「やぁああああ!!!」


 突然、前方から感じた圧倒的な存在感と共に、何かが玄武型(ケレース)の体に激突した。


 その衝撃を受けた玄武型(ケレース)はよろめき、あと4mという所で体勢を崩し、後方に倒れた。


「ふぅ……今回に関してはダメかと思ったッス。でも、案外間に合うもんなんスね」


 玄武型(ケレース)に激突した何かは、軽々と地上に舞い降り、楽観的な口調で話しかけてきた。


 その見覚えある容姿と、聞き慣れた軽快な声。すぐに、その何かの正体は分かった。


 あまりもに予想外の人物が現れたので、少し弄り気味に話返した。


「……どこ行ってたの?随分急いでの到着だね」


「……いつも通りッスよ。正直、マストルさんなら間に合うと思ってたんですけど、思ったより遅かったッスねぇ……終わったかと思ったッスよ」


 にこやかに笑うその顔を見て、少し安心した。彼女が来たなら、もう安心だろう。


「改めて、遅れてすみませんッス。魔導王の愛弟子、マキここに参上ッス!!」

読んでいただき、ありがとうございます。

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