五十六話【やめろ】
最近深刻回多すぎないか?って自分でも思ってるところです。どうですかねぇ……
「……は?今…なんて言った?」
「言っただろ、落ち着いて聞けって。お前には残酷だが、これは事実だ」
意味が分からない。いや、そんなはずはない。
「嘘…だろ?」
「言うと思ったぜ……。嘘なんかじゃない。俺はこの目で確認したんだ」
有り得ない。なら、僕は何故ここにいるのだ。
『あの人とは……エネット=ロウトネスは死んだよ』
理解できない。
「馬鹿を言え!だったら、何故僕はここに居る!」
「……俺にもよく分かんねぇけど、お前は覚えてるんじゃないのか?」
(覚えている?なんの事だ?)
先程から、なんの事を言っているのか、僕は分かっていなかった。だが、そんな僕にも、マストルは説明を続けた。
「あの時……結界を破壊しようとしたあの人の元に走っていこうとしてただろ?」
「……それがどうしたんだよ」
そうだ、それがどうしたと言うのか。
「その時、お前は直前で倒れたんだよ。俺は、何が起こってるのかよく分からなかったけど、多分あの人がやったんだと思う」
「………」
マストルの話を聞き入れることは出来ないが、何故か信憑性がある。
しかし、それを受け入れることは出来ない。それだけでは、僕がここにいる理由にはならないからだ。
「……だからなんだって言うんだ?それがエネットさんの仕業だとしたら、エネットさんが生きているのは必然的なはずだ。エネットさんだって、それが無駄死を表すことだって分かってるはずだ」
「……あぁ、そうだよ」
思った通りだ。僕の言う事を否定できていないという事は、やはり何か隠している。
(最悪、強行手段になってでも吐かせてややる)
決意を固め、マストルに思い切りの声で問い詰めようとした。
その時だった。
「お前の言う通りだ。あの人は……お前が言う通りに言えば、無駄死したんだよ」
「……は?」
「いや、俺はそうは思わないけどな。少なくとも、あの人が最後に俺に託してくれた言葉を聞けば分かる事だ」
嫌だ。そんな言葉聞きたくない。聞いてしまえば、全てが終わってしまう気がした。
「聞くだろ?お前の認証なしでは言うなって、あの人にも言われたから言わなかったけど、俺は今すぐにもでも伝えたいくらいだ。あの人のこと、よく知らないけど、すごいいい人だったんだろ?」
「……やめろ」
「は?」
「やめろって言ってるんだ!!!」
マストルの胸ぐらを掴み、本気の言葉をぶつけた。何度も、何度も、何度も、何度も───
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