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さようなら 新たな終幕  作者: 天天ちゃそ
第二章【ヘヴン編】
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三十五話【再発】

(右側後方から五体と、左側上下合わせて七体、正面に二体か……)


 現状は、絶賛逃走中だ。


 緑龍型(ガイア)を倒しても、状況は全くと言っていいほど改善されなかった。一体くらい倒せば、他の奴ら(異形獣)も恐れをなして逃げてくれるだろう、そう思っていた。


 しかし、物事はそう上手くは進まない。むしろ、同族を殺されたことに危機感を覚えた異形獣(バケモノ)どもは、さらに殺気立っており、凶暴性を増していく。


「GAAAAAA!!!」


「ビギァァァァァアアア!!!」


 後ろから聞こえてくる耳障りな奇声には、正直うんざりしていた。死ぬ直前でこんなもの聞かされるとは、最後まで運がない。


「黙って着いてこればいいんだよ!」


 僕は、二日前の捜索作戦の時の感覚を思い出す。あの時の手から出た謎の黒い糸。あれがあれば、あの異形獣(バケモノ)どもからの逃走が楽になる。


(あの時は落ちたくないって思いだったよね?だったら、わざと……)


 あの時の感覚を引き出すため、わざと大樹から身を落とした。真下には口を開けた異形獣(バケモノ)が二体。落ちれば死ぬ。


(頼んだぞ……異形質!!)


 ゾワッ


 心の底から、あの時と同じ感覚を感じる。だが、これは落ちたくないという意思とは違う、”何か”の仕業だ。


 何はともあれ、手に紋章を映し出すことは成功した。あとは、あの謎の糸だけだ。


(あの樹だ……捉えろ!)


 思った通り、紋章は僕の意志を聞き届け、あの時の糸を放出する。視線の先、記憶の光景と一致する。


「A”A”A”A”A”A”A”A”A”A”!!!」


 僕を取り逃したのが腹立たしいのか、下に構えていた異形獣(バケモノ)どもは炎の弾と冷気を放つ。


(喜ぶ暇も与えてくれないのか……全く、殺すことしか考えてないバケモノの扱いは大変だ)


 炎の弾は避けられるので問題ない。しかし、冷気に関しては足場の妨害になるので、邪魔になる。


「……二体目、決めたよ」


 足場の樹から身を投げる。垂直落下する身体は、炎の弾へと突っ込んでいく。


(おそらくだが……この憶測は間違っていないはずだ。大切なのは”イメージ”だ……)


 今日は賭けることが多い。それも、失敗したら、この体との永遠の別れを告げるかのような大賭博ばかりだ。


 僕は再びイメージする。心の底に問いかけ、要求する。


(この危機的状況を大破する(異形質)を……僕に!)


 湧き上がる力が、僕の感覚とともに伝わってくる。誰かに聞かなくても、実践しなくても、その力の概要が分かる気がする。


 ──返してやるよ──


 手に持った短剣を空に向けて振る。すると、目の前にある炎は180度軌道を変え、威力を増して異形獣(バケモノ)へと襲いかかる。


「AAAAAAAAAAA!?」


 激しい爆発音とともに、森中の土砂が宙を舞う。その勢いは、辺り一帯を巻き込んだ。

読んでいただき、ありがとうございます。

評価やコメントがモチベに繋がるので、良ければそれらもよろしくお願いいたします。

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