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さようなら 新たな終幕  作者: 天天ちゃそ
第三章【第六十五王都《ノズマリア》編】
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百十話【驚愕の事実】

「……今なんて?」


「え?いやぁ……いくら歌絲(かいと)さんでもその言い方は酷いッス……と」


「いやいや、そうじゃなくて」


 そんなことどうだっていい。それより聞きたいのは、あの女の化け物の正体だ。


「……?正体?そんなの侍女長(メイ)サマに決まってるじゃないッスか。見たら分かるッスよ」


 いやいやいやいや、それは無いだろう。どう見たってあれは人外の生物だ。


 あの驚異的な身体能力を差し引いても、声質や容姿がもう人間ではなくなっている。


 《……告。対象名奏峰 歌絲(かなみね かいと)は判断資料の不足と、判断能力の欠如により、その判断に至れなかったと予想します》


 世界剣(ディーヴァ)さんが余計な解説を入れてくる。


「……なるほどッス。歌絲(かいと)さんは世界剣(ディーヴァ)さんみたいな存在がいなかったッスね……それなら気づかなくて当然ッス」


 それはそうだろう。あれを世界剣(ディーヴァ)の助言無しに初見で見破れる人なんていないるわけが無い。


 というかいて堪るものか。


「いやぁ、いつもの感じで話してると、ついつい世界剣(ディーヴァ)さんに頼っちゃうッスから……」


「休ませてあげればいいのに……」


 《告。そのような心配は不要です》


 いや、やっぱり何でもなかったようだ。もう何も言わないでおこう。言ったら大変なことになる。


「まぁともかく、パレットさんと一緒にここから離れてくださいッス。落合場所はパレットさんとその結晶玉に記録しておいたッスから、心配はないッスよ」


「そのとーりだ!」


 今度は息を荒くしたパレットが飛び込んできた。


「……無事だったんですね」


「まぁな。けど、マキが居なかったらぶっちゃけやばかった」


「そんなに……」


 パレットがここまで弱気な発言をするとは思いもしなかった。あんなに優しかった侍女長(メイ)に何があったのだろうか。


「……随分と楽しそうね」


 その時、僕はマキとパレットとの会話で気が緩んでいた。

 そのせいか、後ろにいる侍女長(メイ)の存在に全く気づけなかった。


歌絲(かいと)さん!」


 マキがこちらへ手をのばしているのが見える。直感だが、その手は僕に届かない。


「……残念だったわね、侵入者さん」


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