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さようなら 新たな終幕  作者: 天天ちゃそ
第三章【第六十五王都《ノズマリア》編】
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百七話【決意と決断】

 パレットが話出そうとしたその時、世界剣(ディーヴァ)の声が響く。


「ありがとうッス、世界剣(ディーヴァ)さん。助かったッス」


 世界剣(ディーヴァ)にお礼を言うマキの顔は、スッキリした と言わんばかりに笑顔で溢れていた。


「て、てめぇーーー!」


 パレットは血走った目でマキの胸ぐらを掴みあげる。


「どー言うつもりだ!俺の説明はどうしたんだ!?」


「誰も貴方に譲るなんて一言も言ってないッス。少なくとも、私は納得してないッスよ」


「があああああああああぁぁぁ!許せねぇ!」


「許さなくていいッス」


「ちょっ!二人とも!!」


 それを聞いたパレットの目は理性を失っていた。もう僕では止められない。


「シャラ喰らえ!!」


 掴みあげていた手を離し、それを拳へと変える。


 しかし、マキは容易くそれを受け止め反撃する。


「ぐっ……なめやがって……!!」


「貴方の攻撃なんてたかが知れてるッス。さっき戦って分からないんスか?」


 マキは煽り口で言う。これは完全調子に乗っているな。


「ほぉおお?ならとことん殺るか?」


「だからやめようって!」


 パレットの手にしがみつき、必死で動きを止める。さすがにこれ以上戦いに巻き込まれたくない。


「離せゴラァ!」


「痛っ!?」


 理不尽な一撃が頬にクリーンヒット。後ろへぶっ飛ばされ、無残にもその場に倒れた。


歌絲(かいと)さん!?おのれよくも歌絲(かいと)さんをぉおおお!」


「ははははははは!その意気だ!」


「……もう嫌だ」


 もうこの二人を止めるのは無理なのだろうか。


 地に横たわり、そう諦めかけた途端、二人の動きが止まった。


「……気づいたんスね」


「……あぁ、中々にやり手だな。ここまであの殺気を隠してたのか」


 睨み合っていた二人は突然言い争いをやめると、互いに逆の方向を向いて叫んだ。


「居るだろ!隠れてないで出て来いよ!」


「そうッスよ!無駄なだけッスよ」


「……二人とも何言って……っ!!」


 その一瞬で全て理解した。


 とてもなく、果てしくなく底のない存在感が二つ、こちらを見ている。


「……参ったな。ご丁寧に左右同時に近づいてきやがる」


 そう、ここは二階への階段がある中央広間。繋がる道は二つしかない。つまり


「挟み撃ちってこったな。やべえ」


 顔は笑っていたが、口調が笑っていない。もう笑い事なんてもんじゃない。


「……歌絲(かいと)さん、結晶玉の中に。今ならまだ間に合うッス」


「僕は力不足ってこと?」


 マキは黙り込んだ。おそらくそういう事だろう。


「察してやれよ。言わねぇなら俺が言うが、ハッキリ言って力不足だ。マキの言うことに従え」


「……そうだよね」


 悔しい。自らの弱さがこんな形で降り掛かってくるなんても思いもしなかった。


「ごめんなさいッス。一応、これに触れたら中に入れる仕掛けにしてるッス。さぁ早く……」


「嫌だ」


「……え?」「は?」


 驚く二人の顔を見て、追い打ちをかけるように言う。


「……二人には悪いけど、僕だって王宮使用人だ。王国の危機に一人だけ逃げるなんてできない」


 ここで逃げたら、何かが終わってしまう。そんな気がした。

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