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さようなら 新たな終幕  作者: 天天ちゃそ
第三章【第六十五王都《ノズマリア》編】
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百六話【裏の異形質】

 

 そこから五分ほど説明を受け、これまで起きたことの大体を理解した。


 擬音ばかりを使ってるパレットの話し方は、なんだかマキに似たものを感じた。


 つまり分かりにくい。


「んまざっとこんなもんだな。どうだ?分かったか?」


「えぇ、大体……」


 本当のことを言うと少し理解できない部分がある。この際捨てるしかないのだが……。


「……ていうか、マキの言うマストルへの対策ってのはまさか……」


「はい、結界内での制限条件(ルールブック)で制約して、異形質(イギョウシツ)の一部を無効化する。って感じッスね。アレすごい体力使うから、あまりやりたくないんスよ」


 二度目のため息を吐き出したマキは指をパチンッと鳴らす。すると、周りに展開されていた結界が消えた。


「これだって維持するのも大変ですし、解除にも体力使うんスよ……」


「色々と大変なんだね」


「そうなんスよぉ……それなのに、パレットさんと来たらすーぐ調子に乗って蹴りなんか仕掛けてきて……」


 マキはそう言いながら、チラッとパレットの方を見る。


「俺だって不本意にやられるのは嫌なんだよ」


「別に減るもんじゃないからいいじゃないッスか。その性質上、実質不老不死ッスよね?」


 核心を突かれたのか、パレットは顔は硬直していた。


「……俺は少しでも楽しいことがしたいんだよ。待つとか癪だし、基本アイツ(ノーディラス)で過ごしてるから大半は意識ねぇんだよ」


「じゃあノーディラスさんにお願いして変わってもらえばいいんじゃないッスか?」


「……出たところで結果は同じだ。今回戦えたのは相手がお前だったからだよ」


 パレットの声はいつの間にか暗くなっていた。


「……お互い大変ッスね」


「同じ部類にするな。お前は正真正銘の怪物だ。俺以上のな」


「同感です」


「えぇ……」


 至極当然の扱いだ。マキは自分の力への理解が足りていない。少しは自覚してくれと毎度思うのも疲れるくらいだ。


「まぁ……それはそうと、まだパレットさんの異形質(イギョウシツ)について話してなかったッスね」


「うん、もう忘れられたのかと思ってたよ……」


 戦闘中、ずっと見ていて気になっていた。マキと対等を張れる力の概要。


 一体どんな化け物じみた力なのだろうか と肩唾を飲む。


「じゃあ簡易的に話ッスよ。パレットさんの力は……」


「そこら辺は俺から説明しよう。過去の話も含めてな」


 マキが説明を始めようとした時、パレットはその肩を掴んで静止した。


「なんでッスか。説明を求められたのは私ッスよ。役割は奪わないで欲しいッス」


「お前は……その……世界剣(ディーヴァ)?からの受け売りの情報だろ。詳しく教えるなら俺の方がいいだろ」


「貴方がまともな説明ができるとは思えないんスけど」


 僕からすればどちらもあまり大差なさそうなのだが……。


「百聞は一文に如かずって事だ。本人が一番分かってるんだよ」


「十聞は一見にしかずッスよ。それに、世界剣(ディーヴァ)さんの分析に間違えはないッス」


「どっちも違う……」


 やはり馬鹿だった。


「……ほら、分かっただろ?俺とお前じゃ大差ねぇんだだから俺がやる」


 何故か開き直っているパレットは胸を張り、マキを見下す。


「大差あるッスよ!私がするッス!その方がいいッスよね!?歌絲(かいと)さん!」


「うーん……じゃあパレットさんにお願いしていい?」


「ええ!?」「分かってんじゃねぇか」


 マキには悪いが、受け売りの情報をマキが伝えられるとは思えない。ごめん と心の中で謝っておいた。


「話が分かるやつで良かったぜ。じゃあ、まずは俺の異形質(イギョウシツ)からだな」


 勝ち誇ったように鼻息を荒くしたパレットは声を張って言った。


「まずは名前だな。その名も──」


 《……全根源表裏変化リュックザイテチェンジ。全ての反抗(アンチ)である存在。保持者はそれらに対抗する存在としてある故、それらに縛られることはありません。同時に、それらに対応することはできず、常それらに拒絶反応を及ぼしています》

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