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さようなら 新たな終幕  作者: 天天ちゃそ
第三章【第六十五王都《ノズマリア》編】
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百話【空間転移】

ついに百話達成でさ!

ここまでお読みいただいている皆様、本当にありがとうございます!これからもどうぞよろしくお願いいたします!

「……ノーディラスさんでしたっけ。条件とは?」


「おお!ノーディラスの名前覚えてたのか!じゃあ、俺の名前も……」


「止めぬか。アレはあくまでも敵ぞ」


「分かってるって!」


 見てると緊張感が抜ける。あれが本当にあの時の敵なのか疑うほどだ。


「……あの、条件は……」


「……それくらい察しておるのだろう?その顔、明らかに返答待ちではない」


 バレたか。もうこっちはうずうずしてるんだ。


「アルトさん、ここは私が……」


「いや、ここは僕にやらせてくれ。言ったでしょ?あの人たちには借りがあるんだ」


 今回は戦闘を買って出た理由は二つある。一つはお返しみたいなものだが、もう一つは……。


「……準備はよろしいか?」


「……いつでも」


「フォーー!」


「黙らんかヘイヴ!」


 念の為持ってきていた長剣を構える。


「……参ります!」


「こい!」


 発した直後、前方に出していた足で踏み込み、瞬時に加速する。


「……ほぉ、中々速い」


 加速づいた剣で思いっきり打ち込む。しかし、男は難なくそれを受け止めた。


「……幼少にしては剣にも覚えがあるようじゃが……その程度では俺ちゃんは下せんぞ?」


 やはり一筋縄ではいかないようだ。


 ここは引いて、あの技に持ち込むのが良さそうだ。


「……引くのか?」


「……このままでは勝てないのでね。お見せしますよ。貴方を葬るための一撃を」


 僕の最速にして最強の得意技。それは刺突。


 距離をとったところから一直線に、対象が見切れないほどの速度で動き仕留める。あれだけは何回も練習しているので自信がある。(マストルに破られたけど)


 幸いにも、持ってきた長剣の型式は刺突に特化したもの。場所も悪くはない。


「それは楽しみだ。是非とも見せてもらいたい」


 ノーディラスは笑って言うと、20mほど距離を置いた。


 バカめ。距離が長ければ長いほど僕の突きは強く、鋭利になっていく。その行為は自然と自分を破滅に追い込んでいるのだ。


「……ではお望み通りに……!」


 踏み込みの構えから飛び出し、地を思いっきり蹴る。


 バルディナス直伝の踏み込みの構えは、空気抵抗を大幅に軽減して動く事を可能にする。


「……速い」


 ノーディラスは認識はできているようだが、動き出す挙動がない。これは当たる。


 確信を得て、さらに勢いづいたその時、ノーディラスの口元が歪んだ。


「……フッ、掛かったかな」


 その瞬間、踏み出していた床一体が光に覆われた。


「……これはあの時の……!」


「……ククク、前となんら変わっていないようで何よりですぞ」


 その不敵な笑みから溢れる悪意を感じる。またもや僕は弄ばれていたというのか。


「ち……くしょう!」


 今回は諦めるしかない。それに、ここで死んだら色んな意味で好都合だ。


 決心が着いた頃には、僕の目は既に閉じていた。もう諦めよう そう思った時だった。


「アルトさん、大丈夫ッスか?」


 横からマキの声が聞こえた。


「……マキ!?ここに来ちゃダメ……だ?」


「ふぅ、毎度毎度無理ちゃしないで下さいッス。こっちの身が持たないんスよ?」


 呆れ顔で言うマキは、結晶玉に手を置きながらため息をつく。


「……バカな。地雷は発動したはずだ……」


 ノーディラスが驚きの顔で呟く。


「……ヘイヴ、貴様誤ったのではなかろうな?」


「も、もちろんだ!俺は確実に即発性の地雷を……」


 すると、王都の後方に位置する弘道平原(こうどうへいげん)から、何かが爆発したかのような轟音が響き渡った。


 それと共に、その轟音は衝撃へと変換され、平原一体を覆い尽くす爆炎を生み出し、そこを焼き尽くした。


「……うそぉ、あの音と爆発は俺の……」


「……案外強いんスね。飛ばしてなかったら王宮が吹っ飛んでたッスよ」


 マキは、焦りの表情のヘイヴとは真逆に淡々と事を発していた。


「……どういう事だ?ヘイヴの爆撃は完璧に決まったはず……」


「ええ、貴方の地雷は完璧に発動しましたよ。ただ、それが飛ばされたからここは大丈夫だった……ってだけッス」


「……飛ばされた?」


 疑問が募るマキの発言に混乱したが、その混乱は次の一言でかき消された。


「私は特に何もしてないッスよ?ただ、床に仕掛けられていた地雷をそのクウカン(空間)だけ剥ぎ取って、あっちの方にテンイ(転移)させただけッス……」


 その台詞を聞いた途端、先程まで余裕面をしていた二人組の顔が青白くなっていく。


「空間を……剥ぎ取っただと?そんなバカな……」


「えぇ?何か変なこと言いましたかね?」


 今この瞬間、この場所にいたマキ以外の人間の思考は多分一つだ。


 僕は顔を緩め、気が抜けた声で呟く。


「……エネットさんが重宝するのも無理はないか……正真正銘の怪物(バケモノ)だ」







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