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さようなら 新たな終幕  作者: 天天ちゃそ
第三章【第六十五王都《ノズマリア》編】
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九十九話【奇遇】

《》は世界剣が話す時に使っております。変更したのでご注意下さい。

 ”死に戻り”に近いのかもしれない。記憶も意識も正常に機能しているが、状況だけが戻っている。


 タイムリープの方が正しいな。


「……本当に大丈夫なんスか?」


 マキは怯える勢いで問いかけてくる。そんなに怖がることも無いのだが。


 いや、僕が心配されているのはいい事だ。ある意味都合がいい。


「……そんなに心配?だったら、やっぱり二手に分かれるのはやめて、二人で一緒に探そう」


「え?いいんスか?」


「うん、死ぬよりはまだいいよ」


 そう、これであの女と出くわしても、マキがいるから安心なのだ。


 あの女も相当化け物だが、マキに勝てるほどではないと思う。


「……分かったッス。じゃあ、右と左、どっちに行きますか?」


「左だね。右はいい感じがしないから」


 適当な言いつけたが、本質はあの女と出くわさないためだ。


「了解ッス。あ、これ持っててくださいッス」


「……これは?」


 マキから手渡されたのは、前に貰った短剣とは違う球体のようなものだった。


「それには色々と力を込めてるんスけど、特色はコユウクウカン(固有空間)ってのを持ってるんスよ」


「……固有空間?」


「はい。だから、それに美音(みおん)サマを入れておくといいッス。一応その中では時の動きが進行していないらしいので、目覚めるのも少し遅くなるらしいんスよ」


「……それ大丈夫なの?」


「いざとなれば進行させることもできるそうッス」


「……なるほど」


 便利すぎないか?まぁ、これも世界剣(ディーヴァ)の力なのだろうけど。


「そうッスよ。全部世界剣(ディーヴァ)さんからの提案ッス」


「……便利だね」


「便利ッスね」


 《……便利》


「うわっ!」


 突然、頭の中に機械音が響く。


「あ、起きたんスか?」


 《解、適応の準備が完了しましたので、報告致します》


「あ、どうもッス」


 マキの挙動を見て、その声の正体はすぐに分かった。


「ねぇマキ、起きたってどういう事?」


「ん?あぁ、世界剣(ディーヴァ)さんが少し眠ったんスよ。タイサクセイサク(対策制作)?をするとか言ってたッス」


「対策?」


「そうッス。マストルさんを止める、唯一の方法ッス」







 *







 一階の捜索は特に目星いものはなかった。

 ただ、毎回のように敵兵が束になっていただけだった。


『マキ!』


『分かってるッスよ。”殺さないで”ッスよね?』


 毎回通りマキには忠告しているが、マキもマキで考えていたらしい。


『……ここにいる全員、おやすみッス』


 結晶玉に手をかざした瞬間、敵兵たちが気絶するように倒れて行ったのだ。


『……殺してないよね?』


『眠らせただけッス。あと十分もしたら起きると思うッスよ』


 と言った感じで、難なく二階への階段に辿り着いた訳だが……これまた思いもよろないことが起こるものだ。


「およ!お前はいつぞやの少年ではないか!こんな所で出会うとは奇遇だな!」


「……予想外ですな。メイデンが処理に向かったと聞いていておったが……」


「確かにそうだな。アイツが目標を逃すはずがねぇ……こいつら強いのか?」


 二階へと繋がる階段の前に立っていた男二人は、見覚えるある雰囲気をしていた。


 久しぶりに見るし、何か挨拶でもしてやろう。


「……お久しぶりですね。地下で案内をしてもらった時以来でしょうか?」


「ふむ、随分と気が強くなったようだの」


「カッカッカッ!ノーディラス、からかい過ぎるなよ!」


 飄々とした態度で話す男と、楽観的な口調で話す男。このやり取りもあの時と変わらずだ。


「……アルトさん、知り合いなんスか?」


「知り合いと言うより、私怨の敵って感じかな。あの二人には恩があるからね」


 あの時は無様にも地を這いずるしかなかったが、今回はマキもいるので強気に出れる。


「……で、お二方は何故こちらへ?」


「ふん、お前に教えてやる道理などなかろう……知りたくば教えてやっても良いよいがの」


 この話文句、あの感じでいいのだろうか。


「……教えて頂けますか?」


「いや?ちょいとした条件がある」


読んでいただき、ありがとうございます。

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