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親の愛のストーリー

作者: 原一文

研修生張雄は日本に着いた。早速中国の妻に電話で連絡した。

「もしもし、俺だ、今、日本に着いた。小光は?」

「わあ、よかった。小光、お父さんの電話」

「父さん」

「小光、ちゃんと勉強している、最近テストした」

「した、学年一位」

「良かった、この調子で。俺は日本で頑張るから、絶対小光の高校と大学の学費を稼いでくる。絶対に小光を清華大学に入れてやる」

「お父さんは体を気をつけてね」


張雄が就職した会社は鉄板の成型会社。簡易な鉄板でできた工場で、製造ラインで働く人は日本人一人もいない。唯一工場長は日本の方だった。張雄は不思議で聞いてみた。

工場長は「日本人はこんな仕事をする根性がありません。外人しかできないから」

張雄は思った「鬼のように仕事できる日本人もできない仕事がどういう仕事かな」

仕事する前に、革手袋二組、軍手一打を配ってくれた。

工場長はわざわざ説明した「これは一か月分だよ、以上に使われたら、自費負担になります。」

張雄はちょっと意外に思った「こんなたくさん手袋一か月に使え切れるかな?」

実際に仕事をはじめると、わかった。扱っている鉄板はあまりにも荒いため、一日一組の革手袋が完全にぼろぼろになった。一連のプレスマシンが高速に動いている、途中少し休憩以外、ほぼ十二時間フル回転で働いている、工場内で暑くて、屋根の鉄板が鉄板焼きのように頭を焼いていた。休憩の時、何人の中国の方と知り合いになった。

張雄は皆に聞いた。

「みんなは国内で借金して、研修生の資格で来た?」

殆どの方が手を挙げた。

ひとり先輩は言った

「研修生は日本人ができない三K仕事をする。最低賃金で、死ぬ程働いたら、月に二十万ぐらいもらえる。俺は国内に子供がいるから、三年間頑張れば、帰ったら子供をいい学校に入れてやって、これは親の務めだから。」

張雄はポケットから一枚子供の写真を取り出した。一四、五歳前後な男の子、初々しく、天真爛漫な笑顔だ。

「俺もそうです。見て、俺のひとり息子、名前は、小光だ。すごい利口な子だよ、勉強がよくできている、常に学校の一位だ。お金があったら、絶対清華大学に入れる。」小光のことを喋ると、張雄の目が輝いていた。

「小光は俺の命だ。今、うちお金がないから、高校にもやっていけない。だから、どうしでも、おれはここで頑張らなくちゃ」

先輩は「ひとつだけ気を付けて、この工場事故が多いよ。今一年働いたが、もう四人が事故で手をなくした、事故にあったら、全てぱーになる。国内に帰っても、ろくに仕事ができなくて、ここでもらった金を借金を返して、あと全部病院に突き込む。絶対に事故になったら、アガンぜ」

張雄は「俺の人生はどうでもいいが、事故になると、子供の人生もめじゃぐちゃになる。絶対に気をつける。」


十二時間高強度な仕事して、寮に帰ると全身グタグタになった。張雄は一言を喋る気力もなくして、シャワーを浴びるさえ一種の疲れになった。

唯一の楽しみは毎週日曜日、中国にいる息子小光との電話だった。


「小光、父さんだ。ちゃんと頑張っている、ご飯をいっぱい食べてね、今、成長盛り時、食べないと、脳が働いてくれないぞ」

「はい、分かりました。いっぱい食べます。」

毎回小光と電話した後、張雄はいつもやる気が満ちて「よし、頑張るぞ。」と自分に励んでいた。

半年過ぎたばかり時、張雄の妻が入院した知らせが来た。入院費用が困っているらしい。張雄が凄く心配した。早く仕事が終わって、お金を送ろうと思っていた。小光の生活も心配していた。

十二時間超強度な仕事して、そろそろ終わる頃、張雄は意識が少し朦朧し始めた。

手をプレスマシンに鉄の塊を入れるのタイミングが少しずつずれていた。

急に「ああ」と叫び声をして、横に倒れていた。血だらけになっていた。手のひらがママレードみたいにぐしゃぐしゃに潰れていた。張雄はあまりの痛みで叫んでいる。

「小光、小光、ごめんね、お父さんは役立たない。」

「小光、小光、ごめんね」

「小光、ごめんね」

「小光…」張雄は気絶するまで子供の名前を叫んで続いた。


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