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俺が光ることなんてない  作者: はぁる
4/4

4.葉は平和を願う

遅れて申し訳ない!

ちょっと最近忙しかったので!これからは多分大丈夫ですよー

 俺は今までずっと結月と比べられながら生きてきた。姉の結月に比べれば確かに俺は劣化版だ。学校では常に馬鹿にされ、家では親に呆れられる。だが、そんな俺でも結月ほどではないが、他の生徒より高い点数を取ったときがあった。これで少しは認めてもらえる、と思っていた。しかし、現実は違った。


 「結月の弟だろ?それくらい普通だよ。」


 「どうせ不正したんだろ?」


 誰も俺のことなんて見てくれない。誰も俺のことを認めてくれない。何故俺は比較される?何故俺がこんな目にあわなければならない?俺はただ普通に生活していただけなのに。

 なんで俺を見てくれないの?なんで俺のことはほめてくれないの?答えなんて分かりきっているだろう。


 俺が劣化品だからだ。




 朝のホームルームが始まるまで、まだ時間があるため俺は南瀬と雑談をしていた。


 「そういえば南瀬ってゲームやったことないんだよな?」


 「うん。まぁ、やれなかったが正しいかな。」


 あはは、と微妙な顔で言う南瀬。だったら...


 「だったらやってみないか?」


 「え?」


 「ゲームだよゲーム!俺の趣味ゲームだから南瀬が楽しめそうなもの紹介できると思うんだが。」


 俺からすれば趣味を語れる人ができる。南瀬は趣味を作ることが出来る。われながらなんて完璧なアイデアなのだろう。...まぁ、南瀬次第なんだが。


 「どうだろうか?それともやっぱりゲームには興味が...」


 「やる!やってみたいです!」


 「うおっ!」


 すっごい食い気味に返事がきたな。


 「落ち着け、とりあえず近い。」


 「...あ、ごめんね。」


 「大丈夫だから気にすんな。」


 まぁ、正直こんなに反応が良いとは思っていなかったが。


 「んじゃ、今日の放課後。あいてるか?」


 「うん。特に用事はないよ。」


 「...ちなみに門限は?」


 「連絡入れるなら多少は大丈夫になったんだ!」


 それはよかった。

 

 「じゃあ、ゲーセンなんてどう?」


 「...ゲーセン?」


 「ゲームセンター、略してゲーセン。まぁ、簡単に言えば短い時間で遊べるゲームがたくさん置いてある店だな。」


 「へぇ~!」


 ものすごく目を輝かせながら俺の話を聞いてくる南瀬。なんか子供みたいだな。


 「行ってみたい!」


 「決まりだな。」


 めでたく放課後の予定が決まったところでホームルーム五分前のチャイムが鳴る。


 「じゃ、今日の放課後にな。」


 「うん!よろしくね!」


 「あいよ~。」


 俺と南瀬が席に着くとちょうど良く担任が入ってきた。学校の始まりだ。




 午前の授業が終わり、昼休憩の時間になった。生徒達は授業の開放感からか寝るひと、雑談するひと、昼食をとるひと、とさまざまなひとが現れる。そんな自由な空間の中、一際目立つ存在があった。


 「でさ~あいつがさぁ...」


 「まじかよやべーな!」


 「だよなぁ!」


 大きな声で会話をする三人のグループがそこにはあった。まぁ、べつにそこまで気にはならないからいいけど、頭悪そうな話してんなぁ。


 「(よう)も思うだろ?」


 「あ、あぁ、そうだね。」


 頭悪そうな問いにぎこちない笑顔のまま応える葉とよばれた男子生徒。彼は何故あの輪の中にいるのだろうか。あきらかに他の二人と雰囲気が違うしノリがいいわけでもない。まぁ、どうでも良いがな。

 そんな会話を昼飯を食いながら見ていたら葉とよばれる男子と目が合った気がした。気のせいだな、気にしない。

 飯を食べ終わりやることが無いため昼寝でもしようかと思っていたら。


 「なぁ、ちょっといいか?」


 例の男子が話しかけてきた。


 「なんだ?てか誰?」


 「自己紹介しただろう。俺は柏葉(かしわよう)。よろしく藤宮(・・)。」


 「お前だって覚えてねぇじゃんか。てかだれだよそいつ。俺は月ヶ瀬光希。」


 「そうだったか?これは失礼。」


 なんか腹立つなこいつ。


 「んで、俺になんか用ですか?」


 とりあえず本題に入ることにする。俺が聞くと後の、さっき話してたグループを親指で指差した。


 「あれが君にはどう見える?」


 「陽キャのうるさいグループ。」


 「君は隠さないね~。」


 「うるさい。...それがどうしたんだ?」


 「...普通に見れば仲が良いだけのグループに見えるだろうね。」


 「どういうことだ?」


 全く意図がわからん。


 「...あのグループは『陰口』をいって盛り上がるグループなんだよ。」


 「...はぁ。」


 いや、正直どうでもいい。そりゃ生きてりゃ陰口だって言いたくなるときがあるだろう。


 「べつに、陰口ぐらい誰だって言うだろう。」


 「ただの陰口なら俺だって笑って話しに参加していたかもしれない。だが、あれは言いすぎだ。」 


 「そう言えば良いじゃないか。」


 「俺はあの友達関係を崩したくないんだ。」


 「それはただの我儘だ。」


 「わかってる。でもせっかく新しい環境で出来た友達を失いたくは無いんだ。」


 「...つまり、何が言いたい。」


 「俺は陰口を言わないような平和なグループにいたい。そしてあいつらを出来るだけ傷つけたくない。何か良い方法はないか?」


 なんとなくわかったが、なんでそれを俺に言うんだ?


 「何故それを俺に?」


 「一番俺と関わりがない他人だったからだな。他人ならこういう話もしやすいだろ?」


 「お前も隠さないなぁ。」


 「まぁね。」


 こいつ、いい性格してやがるぜ。


 「とりあえずわかった。考えておいてやるよ。」


 「ありがとう。君ならそういってくれると思ったよ。」


 「ただし、俺が放課後までに思いつかなかったらあきらめろ。そんな他人の問題に頭を使いたくない。」


 「まぁ、お願いしている身だからね。わかった。それじゃあ放課後、屋上で待ってる。」


 「あぁ、期待はするなよ。」


 「わかった、期待してるよ。」


 本当はこんな面倒ごとになんて関わりたくないんだがな、南瀬には助言してこいつだけ無視ってのもなんかなぁ。

 でも大体は思いついてるし、後は考えをまとめるだけだ。授業中にでもまとめておけば良いだろう。面倒だなぁ。

 でも、こんな俺を頼ってくれたんだし、ちょっとくらい力になってやりたいと思わなくも無かったりする。


 「はぁ...。」


 俺の大きなため息は柏に届くことは無く、教室の喧騒の中にとけたいった。

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