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俺が光ることなんてない  作者: はぁる
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2.とても気になるおさげの子

ようやくやりたいことに近づいてきました。

 『クラス発表』

 新入生や留年を免れたものが学校で参加することの出来るイベント的なやつだ。普通このイベントで今後の学校生活が良くなるか悪くなるかが決まるのだが俺は正直どうでもいい。俺は別に人見知りとかコミュニケーション障害でもないため別に困らないのだ。話すときは話すし遊ぶときは遊ぶ普通の男子高校生。まぁ、でも人ってのは知ってる人がいない環境だと不安になる生き物なわけで...


 「みつきぃ~!何でお姉ちゃんと一緒のクラスじゃないのー!」


 「知らん。俺に聞くな。」


 ちなみに俺はA組、結月はC組。


 「そんなぁ...私一人でやっていけるか不安だよぉ...。」


 「大丈夫。結月は蟻のように直ぐに群れることが出来るよ。」


 「蟻!?私のことそんな風に思ってたの!?」


 「そんなとは何だ。蟻さんはえらいんだぞ。蟻さんに謝れ。」


 「私の扱い蟻以下なの!?」


 蟻さんを馬鹿にするな。あいつらは生きるために必死に働いてんだぞ。


 「あんたの性格ならいくらでも友達できるだろ。」


 「そうゆうことじゃないんだよなぁ...。」


 どうゆうことだよ...。


 「んじゃ、また後でな。」


 「ううっ...みつきぃ~...。」


 あのまま会話を続けていると一生ぐだっていそうなのでこの辺で話を切り上げる。

 結月はかわいいという部類に入るのだろう。実際に中学のときに何度か男子に呼び出されていたし...と、余計なことを考えていないでさっさと教室に行こう。

 



 教室について数十分後、担任と思わしき人物が入ってきた。その人はやはりこのクラスの担任になる人だったらしい。正直ヒョロヒョロしてて頼りがいがなさそうだ。

 担任の指示で入学式の会場に足を運ぶ。途中、結月が俺を見つけたらしくキラキラした目でこちらを見ていたが無視してやった。うん、きっと俺の後にあいつの知り合いがいたのだろう。そうに違いない。

 入学式といえば校長の長話。これまともに聞いてるやつとかいるの?とか思ってたら入学式が終わってた。何してんだよ...。


 


 担任の指示により教室に戻った俺達は自己紹介をしていた。変わった名前の人もいればしっくりくる名前の人もいる。いろんな名前があるんだなぁ。自己紹介は順調に進んでいくと俺の番がやってきた。


 「月ヶ瀬光希です。趣味はゲームです。」


 なんのひねりもない自己紹介は特に反応もなく終わった。普通すぎたか?ちょっと俺悲しくなってきたわ。俺が変に沈んでいたらいつの間にか何人か自己紹介を終わらせ、次の人が発表しようとした。


 「南瀬渚(みなせなぎさ)です。趣味は読書です。」


 俺はその人が気になった。髪は黒い色、髪型はおさげ、スカートは他の女子よりも長めだった。身長はたぶん結月くらいだろう。なんか昔のドラマに出てきそうな格好をしていた。




 放課後。俺はこの後今日発売のゲームを買いに行くのだ。結月は帰らせた。あいつがいると買い食いやらなにやらで出費が多くなるからな。騒然とした教室。各々は連絡先交換や交流会など、青春を謳歌し始めていた。俺もいろんな人から誘われたのだが早くゲームがしたいため全て断った。

 学校を出ていつも利用しているゲームショップに行くと新作ゲームコーナーにおさげの子がいた。この子もゲームするんだろうか?とりあえず声をかけてみようか。


 「えっと、南瀬さんだったけ?君もこのゲーム買うの?」


 「えと...月ヶ瀬さん、ですよね?いえ、少し気になっただけといいますか...。」


 「ゲーム自体はするの?」


 「いえ、一度も...。」


 まじかよ。俺だったら死んでるぜ?あ、これがゲーム依存症か。いや、俺は絶対依存なんかじゃない。

 

 「母が厳しいんです。『あんなものやってたら馬鹿になる!』って...。この格好も母が指定したんです。『恥ずかしくないように』って...。」


 「厳しいお母さんなんだな。」


 「それだけじゃないんです。私の携帯を勝手に見て誰と交流しているかとか気に入らないメッセージを送ってきた友達に母が勝手に拒絶のメッセージを送ったんです。」


 それは過保護すぎるというか...異常じゃないか?


 「お母さんにはやめてっていったの?」


 「いえ、私を想ってくれているのが伝わってくるので...頭ごなしに否定したら悪いなって思って...。」


 なるほどな...。この子は自分の意思を表に表せないタイプだ。それさえ解決すれば何とかなりそうだけどな。


 「それじゃあ、今の生活に不満はないと?」


 正直、余計なお世話かもしれないが、ここまで話してくれたのに『そっか、がんばれよ。』とか言って捨てれるわけが無い。


 「...その...生きづらいです...。私だっていろんなことをやってみたい!他の皆みたいに普通の女の子していたい!でもだめなんです!私が我儘を言えばお母さんを裏切ることになるかもしれない!」


 一度言ったらとまらない。彼女は店の中だということを完全に忘れて泣き叫んだ。ちょっとまずい。俺が彼女を泣かせたみたいな雰囲気になってるじゃないか。


 「わかった!一度ゆっくり話せるところに行こう?ここだと人目があるからさ!おちついて、ね?」


 そういわれてようやく気づいたのか、彼女ははっとして「あうぅ...。」とうめき声を上げ萎んでいった。意外と表情豊かだなこの子。

 とりあえず彼女が動かなくなってしまったので手を引いて近くの公園に向かった。


 あっ、ゲーム買うの忘れてた。

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