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虹の瞳を継ぐ娘  作者: 冬野月子
第3章 呪い

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16

「祭司長、それは事実か」

「はい…他に聞く事の出来る者も、過去の事例もないため証明するのは難しいですが。状況から判断して間違いないかと」

「ふむ」

国王はイリスへ向いた。


「イリス。神の声が聞こえるというのは、どう聞こえるのだ?」

「はい…」

それまで俯き気味だったイリスは顔を上げた。

「———頭の中に、突然声が聞こえました」

「それは人と同じ言葉でか」

「はい、とても威厳のある…けれど優しい声です」

「これまで何回声を聞いた」

「初めて大神殿に行った時と、先日の二回です」

「それ以降は聞いておらぬか」

「はい」


「二回ほどイリス様に大神殿に来ていただき、試してみましたがあの件以降はないようです」

祭司長が言葉を継いだ。

「そもそも神の声を聞くという事は本来ならばありえない事。アルセーヌ殿下の危機に際し、イリス様を通じて特別にお言葉とお力を与えて下されたと思われます」


「ふむ…オービニエよ」

「はい」

「そなたの娘の力はどういうものなのだ」


「———それは、私にも分かりかねます」

フェリクスはそう言って頭を下げた。

「魔術局一の研究家と言われるお前でも分からぬ事があるか」

「オービニエ家の魔術師としての血と、母方の神官の血が互いに強く出てしまったせいかと推測しておりますが」

「イリス様の力については大神殿の方でも調べていきますが、この事はなるべく知られない方がよろしいでしょう」

祭司長が口を開いた。

「イリス様や、婚約者のレナルド殿下を利用しようとする者が出てくるかもしれません」

「———そうだな」

神の声が聞こえるという事は、場合によっては国王や祭司長よりも立場が上になる事もある。

それにこの事が国民や国外にまで知られたら、大きな騒ぎとなるであろう。


「あの場にいた者達には固く口止めを誓わせております」

「分かった。ではこの場の者達も皆、この事は禁秘とするように」

全員が頷くのを確認すると、国王はイリスに向いた。


「イリス。そなたの力、この国の為に正しく使うのだぞ」

「はい。承知しております」

答えてイリスは深く頭を下げた。





「ほら、夜も綺麗だろう」

すっかり日も暮れてしまい、王宮で夕食を取る事になったイリスを、レナルドはその前に物見塔へと連れてきた。


「わあ…星を大地に蒔いたみたい」

眼下に広がる、小さな灯りが瞬く景色を見下ろしてイリスは声を上げた。

「寒くない?」

「いいえ、風が気持ちいいわ」

並んで二人、しばらく夜の街並みを見下ろした。



「レナルド…ありがとう」

「え?」

レナルドはイリスを見た。

「私がシエルの巫女だっていう事、黙っていてくれて」


「———イリスを守る為に、君の家族が秘密にしてきた事だろう」

自分を見つめるイリスに、レナルドは笑みで返した。

「僕だってイリスの家族になるんだから。秘密は守るよ」

「…ありがとう」

嬉しそうに目を細めたイリスの髪へ手を伸ばすと、その身体を抱き寄せた。


「イリス。愛している」

ゆっくりと、抱きしめる腕に力を込める。

「…私も…レナルドが好きよ」

呟くようなイリスの言葉に、レナルドは目を見開くとその顔を覗き込んだ。


「———初めて好きって言ってくれた」

「…え?」

「いつも僕が言うばかりだったから」

「……それは…」

瞳を瞬かせると、イリスは目を伏せた。

「怖かったから…」

「怖い?」

「私の力や血筋の事を知ったら…レナルドはどう思うんだろうって。それに私は…女神の巫女だから、女神が一番なの。だから…」


「それでも、僕はイリスを愛しているよ」

レナルドはイリスの頬に手を添えると顔を上げさせた。

「君が何者でも、その瞳に何を映そうとも———誰を一番に想おうとも。僕はイリスを愛し続けるし、イリスの為にできる事をする」

「レナルド…」


「僕はずっとイリスの傍にいるから」

レナルドの唇がそっとイリスのそれに触れた。


「今日は邪魔が入らなくてよかった」

「…ふふっ」

思わず笑みを漏らしたイリスの唇にもう一度唇を重ねると、レナルドは愛しい人を強く抱きしめた。

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