役所へ向かおう
バーニャさんに連れられて、広場を抜けて少し歩くと、先程のゆったりとした空気はなくなり、活気ある商売人達の声が聞こえてきた。
屋台や露店などのお店がいくつも出ている。
まるでお祭りのようだ。
いい匂いがあちらこちらから漂ってくるし、アクセサリーなどのハンドメイドっぽい物も売っている。
うう……端から端までちゃんと見たいいい。
ミーン焼きってなんだろう。
見た目は焼き鳥っぽいけど……。
かなりの売れ行きからして美味しいに違いない。
あれはいつか絶対に食べるぞー。
「ここはフリー市場。色んなものが売ってるから見ているだけでも楽しいわ。私のおすすめは焼きそばよ。最近ワンワンで流行ってるみたいでねえ。孫が買ってきてくれたのよ。」
また食べたいわあとバーニャさんはにこやかに教えてくれた。
焼きそば!
なんともファンタジーらしくないけど、プレイヤーメイドかな?
もしそうなら流行りを作れるなんて夢あるよね!
それからあっちこっち気を取られる私にこれがおすすめだとかあの人は女好きだから気をつけなさいだとか面白おかしく教えてくれるバーニャさんと話しているうちに、フリー市場を抜けたようだった。
今度は建物でのお店が出ている通りのようだ。
整備された大きな道には馬のような恐竜のような生き物が引いている乗り物が走っている。
「ここが表通りよ。もうすぐ役所が見えるからねえ」
疲れてないかい?と気遣ってくれるバーニャさんにまだまだ大丈夫だと伝える。
見るからに面白そうなお店ばっかりで疲れなんて感じている暇がない。
武器屋、防具屋なんて見るからにファンタジーなお店から、本屋、服屋、雑貨屋なんかもある。
とってもわくわくする。
早くお買い物をしてみたいなあ。
今は我慢我慢と思いながらもキョロキョロとしてしまう私をクスクスと笑いながらバーニャさんが手を引いて進んでくれる。
バーニャさんがいなかったらいつまで経っても進まなかった気がするので、感謝である。
そうしてしばらく歩くと他より大きい建物が見えてきた。
頻繁に人が出入りしているそこは、思っていたよりも堅苦しい雰囲気を感じさせないところのようだ。
ついに私達は役所に着いたのだった。