隠し洞窟②
入口の光が届かないほど奥へと進み、恐怖は少し薄れてぽつぽつと咲く光を綺麗だなと感じ始めた頃。
ひらけた場所に出た。
先程までの狭苦しさはまるでなく、天を見上げるといくつかの穴から日光が降り注いでいる。
そしてその日光が当たるスポット1箇所1箇所にランラン草がまとまって生えていた。
細長く黄色の葉っぱに楽譜のように黒の5線の筋が入っている。
ランドリーさんに聞いた特徴とぴったりと合っているので、これに間違いないだろう。
さっそく、雑貨屋さんで買ったスコップを取り出す。
そしてひとつ深呼吸してから、私のお気に入りの歌をラとンのみで歌い始めた。
「ランランラン♪」
歌いながら根を傷つけないように慎重に掘っていく。
どうすればいいのかスコップが教えてくれるように、サクサクと掘り進めることができる。
ランドリーさんに教えて貰ったランラン草の効果を最大限引き出す掘り方は、ラとンのみで歌いながら根を傷付けないように掘るというものだ。
歌うのは音楽が好きなランラン草にご機嫌になってもらうため。
根を傷つけないのはそこから重要な成分が漏れないようにするため、だそうだ。
教えて貰わなかったら絶対にわからなかったと思う。
ランドリーさんに感謝しながら歌い続け、そろそろレパートリーがなくなりそうだなと思った頃ようやく採取が終わった。
クエストのものより少し多めに取っておく。
ポーション屋さんの他にも買い取りたい人はいるだろうからとのランドリーさんのアドバイスだ。
極端になくなるほど取らないようにとの注意もうけたので、ほどほどにしておく。
これで1つ目のクエストが達成された。
次は探索であるが、見たところこれ以上奥に行く道は見つからない。
ここに来るまでも1本道で何も無かったはずだ。
……どこを探索すればいいんだろう?
隠し扉とかあったりするのかなあ?
とりあえず壁を届く範囲でぺたぺたと触って調べていってみる。
が、時間をかけて調べたにも関わらず怪しいところはない。
わたんに頼んで上の方も調べてもらったが、これといって何もないようだ。
「わかんないよー」
少し疲れて仰向けに寝転がる。
射し込む陽の光が心地よく、ぽかぽかと暖かい。
するとわたんがお腹に降り立ち、くりくりした目をこちらに向け、触ってアピールをしてきた。
甘えただなあと、ちょいちょいと首元をかいてやるともっともっとと擦りつけてくる。
その仕草が可愛くて、とても可愛くてきゃっきゃっと1人と1匹でじゃれていた時だった。
急に視界が眩み、先程まで日光に照らされていたというのに、一瞬のうちに暗く、冷たいものに変わった。
ここは、どこだろう。
そう考えたときだった。
静かな、だけれども悲しみや諦め、沢山の負の感情が込められたような声が聞こえた。
「羨ましい……」と。




