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キャラメイク

『Mebius fantasy onlineへようこそ!ご新規様ですね。お名前を入力してください』


 DIVEすると、白い部屋に受付窓口があり、ボブカットの優しそうなお姉さんがにっこりと素敵な笑顔を浮かべながら声をかけてきた。

 目の前には入力できるウィンドウが浮かんでいる。

 挨拶を済ませると、ささっと入力する。

 メリア、と。


『メリア様ですね!よろしくお願いします。ではさっそくキャラメイクを始めます。まず、これから質問をしていきますので、口頭でお答えください。お答え、スキャン情報を元に種族やステータス等を作成いたしますが、あまり深く考えず直感的にお答えいただければと思います。では始めます』


 これこそがこのゲームの持ち味であるキャラメイク方法である。

 同じような答えだと同じようなキャラができるのでは?と思うのだが、それは答えた時の態度の違い、脈の速さ、担当しているAIによって質問内容も変わるなど様々な要素から難しいとのこと。


 更に質問も好きな食べ物やどんなものに憧れるか、旅行に行くならどこに行きたいかなどゲームとはあまり関係なさそうなものも多い。


 AIの言う通り直感的に答えていくのがいいだろう。


 椿はあまり悩むことなく次々と答えていく。


『なんの動物が好きですか?』

「触り心地がいい子ならなんでも好きです!お目目がくりくりだとなおいいなあ!」


『痛みに強いほうですか?』

「ううん。痛いのはだいっきらいです!」


『兄弟はいますか?また関係性を教えてください』

「います!おにぃが2人とおねぇが2人。とっても仲良しで可愛がってくれてるよ。かなり過保護だけど」


『あなたは沼にハマりました。なかなか抜け出せません。どうしますか?』

「んーと。誰かに助けてもらうかなあ。そのあとはすぐ体を綺麗にしたいです」


『最近泣いたのはいつですか?また、何故ですか?』

「昨日の夜流れたホラーCMで怖くて泣いちゃいました」


 etc……


『最後の質問です。このゲームで何がしたいですか?』

「色んな人と色んなところへ色んなことをしに遊びに行きたいです!楽しい思い出でいっぱいにするの!」


『お疲れ様です。長い間お付き合いありがとうございました。5分後、メリア様に合ったキャラを設定しますので、その間そちらのミニゲームで遊んでお待ちください』


 そういうと受付の人は奥に引っ込んだ。


 案内された方を見るといつの間にか現れたのはワニが飛び出てくるのをハンマーで叩くゲームだった。

 昔ながらのゲームセンターには定番で置いてあるものによく似ている。

 パパが昔のゲームが好きで、よく連れていってもらうけどこれが1番得意なんだよねっ。


 いつものようにリズムよく、叩いていく。

 途中で怒ったワニ達は速く、多くなっていくがそこは両手使いで対応する。

 時には手首も使う。

 そして最後にでてきたワニを叩くと口からぽろっとコインを吐き出した。


 軽快な音楽と同時に受付の人が戻ってきた。


『お待たせしました。あら、おめでとうございます!高得点が出たみたいですね。そちらのコインはアイテムと交換できます。またあとでご案内しますね。そして、これがメリア様のステータスになります。ご確認ください』


 アイテムと交換かあ!ラッキー!

 それでそれで?キャラはどんなふうになったかなー?


...............................................

【プレイヤーネーム】 メリア

【種族】 神族(しんぞく) Lv1

【オンリー称号】皆の妹

【得意】防御、サポート、魅了

【不得意】闇、不意打ち、霊

..............................................


 皆の妹?

 たしかに私は末っ子だけど……どんな効果があるんだろう?


 受付のお姉さんを見つめると、はてなが顔に大量に浮かんでいたのだろうか、くすっと笑われてしまった。

 ちょっと恥ずかしい。


『1つずつ説明しますね。種族の神族ですが、光属性の種族になります。回復魔法、光魔法を生まれつき習得しています。頭の上の光の輪の輝き、翼の大きさによって位が決まります。輝きが強ければ強いほど、翼が大きければ大きいほど位は高くなります。位によって出来ることや信者の対応も変わります。位は行動や強さなど様々な要素によって上がるので色々試してみて下さいね』


 回復魔法を最初から覚えてるのは嬉しい!

 戦闘は少し怖いから他で役に立ちたいしね。

 光魔法もイメージ的には遠くから攻撃できそうだし。

 位はよくわからないけど……。

 私にはなかなかあったいい種族かも。


『次にオンリー称号です。こちらはその名の通り一人一人に与えられる唯一無二の称号になります。《皆の妹》はメリア様より長く生きているものに好かれる称号です。恩恵としては例えばお店で割引してもらえたりおまけを貰えたりしますし、好感度も上がりやすくなっています。クエストも起こりやすいので、色々なことを体験できるかと思いますよ』


 戦闘ではあまり使えないみたいだけど、好かれやすいのは嬉しい!

 目指せ、皆とお友達!


『そして最後に得意不得意の項目ですが、スキルやモンスターにはタイプがあります。そちらのタイプに関して取りやすかったり威力を発揮しやすいのが得意。逆なものが不得意となっております。例えばメリア様ですと防御が得意にありますので、バリアのスキルの場合、得意項目に防御がないプレイヤーに比べて取得条件がゆるくなりますし、より強力なバリアをはれます。また霊が不得意にありますので、霊タイプモンスターには恐怖を感じやすいため状態異常になったり、霊タイプ特有の攻撃はダメージが通りやすいです。もちろん不得意分野の克服方法もありますので、探してみてくださいね』


 なるほど……。

 得意は伸ばして、不得意はなるべく避けたいなあ。

 闇と不意打ちと霊、確かに私凄く苦手だもん。

 というか霊タイプモンスターとか急に出てきたら泣いちゃうと思う。

 何か対策考えないとなあ。


『では次は見た目を決めましょう。神族特有の輪、翼は外せませんのでご了承ください』


 受付のお姉さんに大きな鏡がある場所に案内されると、そこには私がシンプルな白の膝丈ワンピースを着て輪と翼をつけて映っていた。

 


 身長120cmの体には立派すぎる白い翼が生えている。

 これは邪魔だなあ。


「翼の大きさは変えれないですか?」


「申し訳ございません。大きさは位に関係するため、変更は不可になっております。お邪魔な場合は意識することにより畳むことはできますし、特殊アイテムを身につけると一時的に消すこともできます」


 あ、そっか。

 それじゃあ仕方ないよね。

 人が多いところだと邪魔になりそうだし、いつか特殊アイテム欲しいなあ。

 まあ、まずは畳む練習かな。

 

 1度翼を意識すると手のように自然に神経が繋がった気がする。

 そして、畳むとかなり大人しい見た目になった。

 これでよしっと!


「メリア様はコツを掴むのが上手いですね!こんなに早く翼を操れる方はなかなかいないんですよ」


 それを見た受付のお姉さんが少し驚いたように褒めてくれる。

 わーい!意外な才能発見?嬉しい。

 

 よし、まずは髪の毛を変えてみよ。

 神族ってつまり天使だよね。

 じゃあ髪の毛はツヤツヤの白っぽいブロンド!

 色見本を参考に変えていく。

 不自然にならないように細かいところはお姉さんに修正してもらう。

 うんうん、こんな感じかな。

 あとは長さは長めで腰くらいにっと。

 

 次は瞳の色かあ。

 イメージは色素の薄い青っぽいような紫っぽいような感じなんだけど……。

 わあ!お姉さん凄い!これに決めた!

 お姉さんの最高のサポートによって理想の瞳の色になる。

 これで少し人間ぽさが抜けた気がする。


 肌の色も少し変える。

 菖蒲(あやめ)ねぇの影響で小さい頃から徹底した日焼け対策をしているから日本人の中ではかなり色白な方だけど、ロシア人みたいなまっ白の肌の方が天使っぽいよね!

 

 あとは補正機能。

 まったくの別人になるのは難しいけど、印象は変わるし、やりすぎなければかなり自然だ。

 んーちょっと作り込んだ感じになるなあ。

 難しいからお姉さんにお任せで!

 ……うん、さすがお姉さん!

 やりすぎてないし、いい感じに人じゃない感も出てる。


 あとは鏡の前でくるくる回りながら更に細かいところをお姉さんと調整していく。

 かなり熱心に相談に乗ってくれるお姉さんには感謝しまくりです!

 最後のチェックをして……完璧。

 でーきた!


「お疲れ様です。これでキャラメイクは終了です。最後に先程のミニゲームの商品をお渡ししますね。こちらのガチャガチャを回してください。ハズレはないので安心してください」


 お姉さんが出してくれたガチャガチャにさっきのコインを入れて回すとカプセルが出てきた。

 かぱっと開けるとキラキラのエフェクトと共にウィンドウが表示される。

 

...............................................

 ★6 天空に捧げる(てんくうにささげる)大杖(おおつえ)

 信仰深い職人が神に捧げるために、生涯をかけて作った神秘の杖。

 見た目の豪華さに合わせたように、こちらを媒介にした魔法も豪華になる。

 良い行動に使うと威力を増すが、悪い行動に使うと天罰が下る。


【攻撃力up大】【魅力up大】

...............................................


『運がいいですね!このガチャではかなりいいアイテムです。さっそく装備してみましょう』


 少し興奮したお姉さんに急かされて、やり方を教えてもらいながらアイテムボックスから当たった杖を取り出した。


 ……おっきいなあ。

 私の身長より大きな杖の先には月と星のデザインの綺麗なアメジストのような石が細かい装飾とともについている。

 簡素な白いワンピースを着た私には不釣り合いな豪華さだ。

 不思議と重さはなく手に馴染む。

 

『ではこれから始まりの街ワンワンにお送り致します。わからないことがある場合はヘルプや掲示板をご利用してみてくださいね』


「わかりましたっ!お世話になりました。いってきます!」


『はい。いってらっしゃいませ。この世界を楽しんで頂けますように』

 

 体が光に包まれる。

 光が落ち着き、目を開けるとそこは緑の芝生や大きな噴水があり、色んな種族の人々が行き交っていた。

 活気ある始まりの街ワンワンだ。

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