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バイト

 街に帰った私は、バイトをするからと兄姉達と別れて、テイマー協会へ向かった。


 建物にはいると相変わらずピンクを全身に纏ったピンクキャットさんがにこやかに迎え入れてくれたので、挨拶を返す。


 そうだ!

 バイトの前に、わたんのこと聞かなくちゃ!


「ピンクキャットさん!わたんのことで相談に乗ってもらいたいんですけど、いいですか?」


「あらぁ、私に答えれるかわからないけれど……どうしたのぉん?」


 ピンクキャットさんが少しだけ緊張したような顔をこちらにむける。


「えっと、従魔の守り石から出した時にかなり甘えてきたんです……寂しかったのかなあと思って。もしそうなら、私出せない時間も結構あるし、可哀想で。何か出来ることとかありますかね?」


 そう、現実世界で1時間はここでは2時間たってしまう。

 ずっとダイブインするわけにもいかないので、どうしてもわたんが従魔の守り石にいる時間は多くなってしまうのだ。

 中がどうなっているのかはわからないが、あの出てきた時の甘え方からしてそんなにいいところではないのではないだろうかと心配になった。


 すると、ピンクキャットさんはふふっと優しく笑った。

 私は真剣に相談してるのに……と少しむっとしたのが顔に出たのだろうか、慌てて謝ってくる。


「ごめんなさいね。馬鹿にしたわけじゃないのよ。ただ、こんなにわたんのことを考えてくれているのが嬉しくなったのよぉ。異世界人さんでは珍しい反応だから……。心配しなくても大丈夫よぉ!従魔の守り石の中では従魔は眠りにつくの」


 ピンクキャットさんの話によると従魔の守り石の中で従魔は心地のいい眠りについて、時間の経過は感じないらしい。

 わたんが甘えてきたのは単純にメリアちゃんが大好きなのよと言ってくれた。

 それを聞いて安心と共に嬉しくなってペンダントをそっと撫でる。


 1つ心配事解決!

 あとはわたんのご飯についてだね!


 それを聞くと、わたんにはご飯は必要ないらしい。

 空気中の魔素がご飯の代わりなのだとか。

 ただ、嗜好品としては色々食べれるそうだ。

 賢い生き物なので、食べていいものと食べてはいけないものの判断はできるらしいので、食べたそうにしていたら食べさせて大丈夫とのこと。


 わたんは人間の食べ物好きみたいだからまた食べさせてあげよっと。



 聞きたいことを聞けて満足な私はそのままバイトを教えてもらうことにした。

 まずは色々な魔物達の世話の仕方。

 ここにいる子は特殊な効果のある卵を産んだり、乳を出したり、遠くまで荷物を運んだりと色々な役目のある子達ばかりで、テイマー協会に登録している人達が預けて、世話を頼んでいるらしい。


 テイマー達のためだけでなく、一般の人達が魔物の力を必要としている場合にこの子達やテイマー協会に登録している人達の中から最適な人を選んで紹介するのもここの主な仕事なのだという。


「例えばこのウマクダは長い道のりの荷物を運ぶのに適しているの。暑さにも強いからかなりの稼ぎ頭よぉ。世話代さえ払っておけば勝手にお金が入ってくるから、利用してるテイマーは多いわぁ」


  そう言ってピンクキャットさんがたてがみを撫でているのは、名前の通り馬にラクダのコブがついた生き物だ。


 私の方によってきて、フンフンと匂いを嗅ぎまくったかと思うと手に鼻先を擦り寄せてくる。

 鼻が湿っているのでやめてほしいのだが、ピンクキャットさんが止めるまでそれは続いた。


「やっぱりメリアちゃんは特別魔物に好かれやすいのかもねぇん。この子プライドが高いから、普段はこんなことはしないのだけど」


 さすが幸福のヌーをテイムしただけあるわぁとピンクキャットさんは感心していた。

 それから1匹1匹、世話の仕方や注意点を聞きながら回る。

皆何かしらアクションを起こしてくれるので大変だが、嫌われている訳では無いみたいなので嬉しい。

 大方回り切った時にはもう4時間もたっていた。


「とりあえず今日はこのくらいにしときましょうか。今日の分のお給料は振り込んでおくからまたお願いねぇん」


 そう言ってピンクキャットさんはまた建物にはいっていった。


 まるで動物園の飼育員さんになったようだった。

 うん、これなら楽しくバイトできそうだ。


 いい経験ができたなあとルンルン気分な私は、夜ご飯の時間になったのでダイブアウトするため宿屋へスキップして向かうのだった。

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