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甘い森②

 楽しい楽しい!

 どんどんレベルがあがって、どんどん動きも威力もよくなっていくのが実感できる。

 敵はキャンディーマンばかりだけど、ピンク、ブルー、イエローなど色々な色のものがいて全然飽きない。


 キャンディーマン程度なら2発も攻撃を入れれば倒せるようになったころには、プレイヤーレベルはLv5になっていた。

 《光魔法》はLv3、《杖術》はLv5まであがっており、Lv5のさいに覚えた『突閃(とつせん)』を使えば1発で倒せる。


 また今も『突閃』を発動しようとした時だった。


..............................................

 魔力が足りません。

..............................................


 目の前にウィンドウが現る。


 本来強力な突撃になるはずの『突閃』は発動せず、ただの打撃になる。

 慌ててもう1度打撃を食らわせ、キャンディーマンを倒した。


 調子に乗って使いすぎたらしい。

 この辺の見極めが難しいなあ。

 しょうがない、そろそろ帰ろう……と兄姉達に声をかけようとした時、私が戦闘中は高く舞い上がり木の上からこちらを観察していたわたんがこちらへ飛んできたかと思うと頭の上に着地した。

 そして歌い始めたかと思うと、私の体を暖かい何かが包み込んだ。


 とても心地よく、少し眠たくなる。

 とくとくと何かが私の中に注ぎ込まれていく感覚。


 3分程だろうか、歌が終わったかと思うとわたんは頬にすりっと体を撫で付けてからまた木の上に戻りこちらをじっと観察し始めた。


 ……これはもしかして。

 思い当たる節があった私はもう1度キャンディーマンを見つけ出し、『突閃』を使ってみる。


「『突閃』!」


 強力な突きがキャンディーマンを襲う。


 キャンディーマンは反撃の余地すらなく、ブロックとなり散った。


 やっぱり魔力が回復されてる!

 思わずわたんを見ると片羽を天高くあげ、どこか誇らしげにしているように見えた。



「便利」


「やばいなこれ」


 シスねぇと伊達にぃも何が行われたのかわかったらしい。

 私を心配してだろうか、何か考え込んでいるように見える。


 3分程度のロスタイムがあるとはいえ、魔力回復ポーションの代わりになる点はかなりの利点だという。

 ただどれくらい回復しているのか、繰り返し可能なのかなど、これから把握しとかないといけないことは山ほどあるらしい。


 これは何回も繰り返して感覚を掴むしかないなあ。




 そして、またしばらく戦っていると少し大きめなピンクキャンディーマン1匹と通常サイズのブルーキャンディーマンが2匹のグループに出くわした。


「あの少し大きいピンクのはキャンディーマンリーダーだ。結構奥まで来てたんだなー。あいつはキャンディーで攻撃してくるから注意な」


 伊達にぃが説明してくれる。


 ちょっと違うことをしてくる個体かあ。

 とりあえず先にブルーキャンディーマンを倒した方がいいかな。


「『突閃』!」


 こちらに向かってきていた1匹をブロックに変える。

 続けてまた1匹向かってきているので、なんとか体を捻り対処する。

 次は、大きいの!

 そう思い、キャンディーマンリーダーを見つめると同時に上から複数の小さいキャンディーが降ってくるのを見て、体が固まってしまい避けられず、軽い衝撃に襲われた。


 飴だけに雨ってか。

 パパならきっとそう言うだろうなあと思考を一瞬飛ばす。


 攻撃はくらったものの大したものではなく、走って近づき『突閃』を3回当てる。

 ブロックに変わったのを見届けて、ようやくひと息ついた。


 やっぱり私は運動向いてないなあ。

 きっと兄姉達ならキャンディーにも当たらず、さっさとケリをつけていただろう。

 こういう時自分の才能のなさに少し落ち込んで、心が少しざわっとする。


 嫌な思考回路に入りそうなのを無理やり追い出して、心配そうにしている兄姉に


「そろそろ帰ろっか」


 と笑顔を向けた。

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