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助け

修正報告

・主人公の年齢を9歳に変更

・ゲームの年齢制限を15歳以上から小学生以上に変更

「違反」


 反応のない金髪に向かって、菖蒲ねぇはもう1度冷たい吐息を吐いた。


 そして、私を守るかのように後ろから抱きしめ、包み込む。

 そうされると一気に体の力が抜けた。

 機械っぽい体だというのに何故か温かみを感じ、ホッと息を吐いた。

 自分が思っていた以上に恐怖を感じていたらしい。


「違反だな。強制的にフレンド登録をするのは。それを抜きにしても、大の大人が小さい女の子にこんな風に言い寄るのはどうかと思うが」


 政にぃは私達を後ろに下がらせ、金髪との間に壁として立ってくれている。

 頼もしい背中がいつもより大きく見える。

 もうこれで安心だ。



 それを聞いているのかいないのか、固まっていた金髪はしばらく目をキョロキョロとさせたかと思うと、ゴクリと唾を飲み込み、ボリュームを間違えた声で反論しだした。


「お、俺は初心者のその子を手伝おうとしただけだ!強制なんかじゃない!」


 な、そうだよなと焦った顔で私に話しかけてくる。

 本気で言っているのだろうか……。


「何度もお断りしました」


 ややこしいことにならないようにと、改めてはっきりと意思表示をしておく。

 すると絶望的な顔になったかと思うと、今度は政にぃと菖蒲ねぇに怒りが向かったようだった。


「だ、だとしてもお前らには関係ないじゃないか!俺とその子の問題だろ?!有名だからって調子乗ってんじゃねーよ」


 真っ赤にした顔で唾を飛ばしながら口汚く喚く。

 もうそれ以上喋らないでほしい。

 どんどんと前と後ろのブリザードが酷くなっていく。

 周りの野次馬も何言ってんだこいつ、と冷たい視線を金髪に向け、コソコソと話している。



「この子は、俺達のリアルでの妹だ。それでも関係ないと?……もういいか?無駄な時間だ」


 政にぃが淡々と言うと、少し音を取り戻し始めていた空間にまた静寂が訪れた。

 金髪と周りの顔は驚愕に目を見開いており、声も出せないようだった。


 再び固まって答えない金髪に政にぃがハァーと溜息を洩らすと運営には報告させてもらう、と言葉を残し、私と「許さない……」と呪詛を吐いている菖蒲ねぇを連れてその輪を抜け出した。


 しばらく歩き、少し離れたところまでくると後ろの方で複数の叫び声が聞こえた。





「あいつ許さない」


 菖蒲ねぇは金髪に握られた方の私の手を、マーキングし直すように撫で回しながら、怒りがまだ収まらないのか再び呟く。


「もう大丈夫だよ!助けてくれてありがとう菖蒲ねぇ、政にぃ」


 もう会うこともそうそうないだろうし。

 運が悪かったと諦めよう。

 助けてくれた2人に感謝を伝える。


「頭がおかしいやつもいるからな……間に合わなくてごめんな?」


 眉を垂らしながらポンポンと黒の革手袋をはめている手で頭を撫でてくれる政にぃ。

 ゲームの中でもこのなでなでの心地良さは変わらないようだ。


「間に合ったってばー。……もうこの話はおしまい!レベル上げ手伝ってくれるんでしょ?どこ行くの?」


 いつまでも気にしているこの過保護な兄姉に、私は無理矢理話を変える。

 せっかくのゲームなんだから楽しみたい!


 その思いを感じ取ったのか菖蒲ねぇと政にぃも切り替えてくれたようで、ゲームの話になっていく。

 まずは私のステータスを確認し、方向性を決めることとなった。




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