神という生き物
あれからどんくらいたっただろうかーー
俺も随分変わっちまったな。
「おい、真央。なにボーッとしてやがる、そろそろ次の授業始まんぞ」
そうだるそうにしつつも律儀に教えてくれるのは、こちらに来て1番最初の、いや、生まれて初めての『人間』の親友だ。
名前は俊之丞。長くてめんどくさいから皆からはトシって呼ばれてる。
この世界に這い上がってきた俺の、最初に出会った人間。
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「ここが、人間界へのゲートか」
長い旅だった。
Born of the Gods(神の軍勢)
に攻め込まれ故郷も、親も、友達も全てを失ってしまった。
きっかけはほんの些細な出来事だった。
100年前、我々ゴエティア(悪魔の軍勢)とBorn of the Godsで戦争が起こった、物事は単純だ。神の軍勢の中でもトップに立つ男ゼウス、その男のたった一言。
「最近、神が増えすぎて息苦しくてかなわん」
この一言だけで我々の領地にBorn of the Godsが侵入してきたのだ。
ゴエティアもただでさえ神聖なる神々の力には勝てないというのに、必死に応戦したがあえなく惨敗。この地は見事ゼウスに統治されることになったわけだ。
統治されてからはそれはもう悲惨なものだった。
神々はおそろしく傲慢で、おそろしく強欲だ。
悪魔の中でも非戦闘民であるマリウス一族、山をいくつも超えた辺境の地にあるのが僕の故郷。
増えた神々は真新しい土地に興味津々で、次々勝手に土地を、国を、国境を作り、案外あっさりとこんな辺境の土地にまで神が侵略してきてしまった。
「よしここは俺の国にしよう、悪魔は全員殺してしまえ」
どこぞの神がいきなり言った。
またしてもたったそれだけで、随分と呆気なくみんな殺されていく。
「逃げなさいっーー」