魔王旅に出る
私の名前はパリエ・タケプロン。
私の家は"魔王の巣窟"という名の大迷宮。
5歳の時にここに迷いこみました。
この大陸を支配するザイロ王国を滅ぼすために日々精進しています。
「パリエ。誕生日おめでとう。」
この蕩けるような笑顔を向ける人はデパス・マイルズ。黒髪黒目のダンディー系な美形であるが二千年以上生きている、千年前に勇者に封印された魔王だ。
元魔王なだけあり、師匠モードだと魔王の顔になり無茶ぶりな修行ばかりしてくる鬼畜ぶり。お家のなかだと保護者モードになるのか滅茶苦茶デレる。
元魔王様は外弁慶なツンデレ属性のようです。
私たちは、大迷宮の100階に家がありそこで暮らしている。もちろん大迷宮なので強い魔物ばかり。冒険者も来るが5階の脱出ポイントまでしか攻略できずに帰ってしまう。
おかげで私も強くなった。この迷宮の魔物は難なく狩ることができる。修行と称して伊達に魔物の巣に投げ込まれただけのことはある。
むしろ、各階の魔物のボス達に私が主であることを思い知らせているためみんな従順なペットちゃん達である。
唯一の能力である"血の契約"のおかげらしい。
"血の契約"とは勇者の血筋が持つ能力。
桃太郎のきびだんごのような能力で、私の血に少しでも触れると私に従わざる得ないという強い呪いの一種。発動条件に制限がありすぎるため非常に使いずらい能力だからほとんど使わないけど。
「デパス。抜け駆けはなしと言ったでしょー!」
師匠につかみかかっている美女はメマリ・タケプロン。黒髪黒目の元勇者様のであり私のご先祖様だ。"勇者の剣"の守護霊。
千年前に魔王を封印した時に、自分の魂をもって封印した。
魔王を倒せと命を受けていたらしいが、魔王と愛し合うようになりずっと一緒にいるために自らをも封印した。なんともロマンティックな話だ。
ちなみに、魔王を倒した英雄としての国では知らないものはいない。神殿に伝説として祭られてその話は千年経った今も知らない人はいない程。
私の戦闘スタイルは"勇者の剣"といわれるこの魔剣。
魔力を吸収できる剣であり血筋にしか使用できないらしい。元勇者様が憑依すると巨大竜を一発で仕留めてしまう威力のあるビームが使える。威力が強すぎて修行の意味がなくなるためほとんど使わないけど。剣の使い方は元勇者様が教えてくれた。
「「15歳おめでとうパリエ。」」
「ありがとう。お父さんお母さん。大好き!」
二人の本当の子供のように、たくさんの愛情をもらって私はすくすく育ちました。新しい両親に私は感謝しかないです。その恩返しをするためにも私は今日から魔王を継ぎます。
「本当に行くのかパリエ?」
「お父さんとお母さんの悲願を達成したいのです。この国に復讐をしたいのです。」
私の本当の両親も、この新しい両親も、どちらも国によって運命を狂わされた。国の都合で使われ捨てられた。こんな素敵な人達にこんな扱いを受けさせる国なんて滅びてしまえばいい。
「可愛い子には旅をさせろって言うものね。気を付けなさいね。私みたいに素敵な伴侶が見つかるかもしれないしね?」
「男はダメだぞ!狼なんだからな!パリエは可愛いくて優しいから心配だ!俺もついていく!」
「パリエ気を付けなさいね。私達の自慢の子だもの。あなたは大丈夫。困ったり寂しくなったら呼びなさいね。私は常にあなたの側にいるから。」
「お父さんお母さん…ありがとう。」