表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/27

甘えたいられたい


 具体的に、どうすりゃ勝ちになるのか。それが確定していない以上、僕にできることは少ない。

 筋肉の人はどうやら戦争的な行動を採るつもりらしく、武器の手入れとトレーニングに余念がない。

 何日かが経過し、ついに決行が明日へと決まった。

 そんな中でも、僕を取り巻く環境は暢気なものだ。


「なあ、シラ」

「はい、なんですか」


 僕を膝に乗せてニコニコ笑顔で髪を梳いていたシラは、小さく首を傾げた。


「シラは戦う準備しなくていいの? 明日、もう戦いなんだろ?」


 僕だって女の子を戦わせるなんて考えたくもないが、他の女の子は戦闘準備をしている。シラだって戦闘要員なのは、イガーポップの件でわかっていた。


「わたしはほら、こうしてあなたのお世話をするのが仕事ですし」


 頭を撫でられ、僕はフニャリと笑う。ゴロニャンと胸に顔を埋めれば、仕方ないですねぇと言って顎先をくすぐられた。

 うむ、Eだ。

 左右から両手で胸を挟む。ブラの硬さがわずらわしいが、鼻先に当たるのは間違いなく桃源郷である。

 ブラと肌の境目の、肉にちょっと食い込み、はみ出した部分の感触。それは胸そのものには無い、一種の聖域、別種の感触を作り出している。全体を擬音にすれば「バイン」または「ブルン」なのだろうが、この小さな領域は「フョン」である。

 この聖なる領域を、僕は天使の枕と呼んでいる。

 鼻で麗しの聖域をつつく。甘い体臭が鼻腔をくすぐる。この場所でなら安楽死してもいい。

 フョン。

 世界が嫉妬する柔らかさ。


「あ、白髪」

「いてっ」


 プツンと抜かれる。ちょっと痛い。

 美少女の膝の上で撫でられ、胸に顔を埋めて甘える。ちょっとやそっとのセクハラにも動じず、丁寧にケアをしてくれる。

 それはとても幸せな、午睡の夢のようだった。


「ああ……このまま時が止まればいいのに」

「ふふ、そうですねえ」


 シラは僕の耳掃除をしたり、タオルで身体を拭いたり、爪を切ったり、乳首に一本だけ生えていた毛を抜いたりした。

 全身テカテカの輝き。余すところなく手入れされ、残すは股の間くらいのものだが、今はそういう時間ではない。如何にしてこのエデンを継続するかに全力を傾けるべきだ。


「うん、きれいきれいー」


 シラが僕の身体を撫でて、満足そうに頷いた。


「そう?」

「はい。男前ですよ」


 お世辞なのかなぁ。そうなんだろうなぁ。


「明日は、シラも行くのか?」

「どうでしょうね。場合によりますけど、行かないと思います。危険なので、あなたは明日お留守番ですよ。いいですか」

「んー、モチロン。危ないのヤだし」

「いい子ですねー、よしよし」

「んー」


 口に放り込まれたイチゴを齧る。甘酸っぱい。

 思考能力の低下を感じる。これはアレだ。悪魔的所業である。堕落の園だ。ソドムとかゴモラだ。

 我思う故に我在りを真だとするならば、ここでは思考を失ってしまい、僕が僕である根拠が消える。このままでは、僕は自我を失う。

 あれ、でもそれって悪くないんじゃないかな。

 何も考えない、ただ心地よく、幸せを享受する。

 だってこんなに幸せなんだぜ。


 残りの御付きの二人も追加すれば、ほぼ完全な布陣じゃない?

 バインフョンの甘えたのシラ、スラっと長身クールビューティーのポニテ、モチモチほっぺの将来有望ちびロリ子。

 どのような敵が相手だろうと、この面子が負ける訳がない。最高のハーレムじゃないか。


「おーい、交代だぞ、っと」 


 ロリ子がやってきて、僕とシラを見ると、ベッドに飛び込んでくる。押しつぶされたが、たいした重さはない。


「ぐえあ」

「ずーるーいー! シラばっかりー!」


 顔面を拘束され、ぐいぐいと頬擦りされた。


「うほー! うひょひょひょひょ! んー!」


 スンスンと僕の匂いを嗅ぎながら、全身を擦り付けるように抱きしめるロリ子。僕がロリ属性だったらヤバかった。

 あ……いや、イケないこともないというか、一応、ちょっとは臨戦態勢には入っているというか。

 ロリ子は腹部に当たる石の如き部位に気付き、服の上から撫で擦る。


「ここ触ると喜ぶんだよねー! ホラ!」


 己の手柄を報告するかのように、ロリ子はシラに見せ付ける。


「あら、元気ですね」

「おー! 熱い! オホっ! オヒョ! ねえ、見て見て! またおっきくなった! あひゃひゃひゃ!」


 テン(ション)高く、ロリアヘる秋。


 薬でもやってんのかってくらい、ロリ子ははしゃいでいる。ぶっちゃけ五月蝿い。子供ってよく奇声上げるよねえ。

 感触はいいけれど、なんというか、興奮とは程遠いな。


「ごがつばえいなー」

「えーっ? なにー? いひひひひひ」


 何が楽しいのだろうか。諧謔する僕である。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ