表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/27

如何にして僕が引きこもったか

未完結。ボチボチ書いていきます。

 現実とはまことにつまらないものであるなあと思い至ったのは、つい先日のことだ。僕はイジメという不合理、というか、普通に傷害沙汰に見舞われた。クラスの中心的人物の好きな芸能人だかと下の名前が被っているという、僕にはどうしようもない理由だった。


 僕は現場の録音と病院の診断書を盾に警察へ直行し、補導とはいかないまでも主犯の男を停学に追い込み、そのことでまた新たな嫌がらせの標的になった。直接的な暴力の的ではなくなったにしろ、物を隠されたり、無視をされたり、形に残らない方法で。無視をされるのは別に構わないのだけど、物を隠されるほうは困る。


 監視カメラを教室の後方に設置して現場を録画することで犯人を突き止めたはいいが、警察は暴力沙汰だった一度目よりもインパクトの薄い窃盗という犯罪に積極的な行動を取らず、まずは教師に伝えてはどうかという無駄な助言をくれただけだった。仕方がないので窃盗現場を顔がよく見える場面でプリントアウトし、まずは廊下の目立つ場所に掲示、それから学校関係者の住所に配送した。


 すると僕は、名誉毀損で訴えられた。


 窃盗をするような生き物に名誉があったとは驚きだった。例え事実であっても、それを周知させることは罪になるということらしく、窃盗犯の親と教師はお互いに訴えを取り下げることで和解しろと通告してきた。

 なんかその辺りで、どうでもよくなってしまった。


 くっだらねぇ。


 僕は通告を丁重に無視すると、見切りをつけた。

 翌日から、僕は学校に行かなくなった。いじめグループではないクラスメイトから登校しろと連絡はあったが、そんな気分になれなかった。


 河原に佇み、最大音量でサイケデリックな音楽を流しながら読書に没頭した。できるだけ非現実的で幼稚な物を選んで読んだ。日が昇ってから落ちるまで、近所の奥様方やランニングをするおじ様方の視線にもめげず、ひたすらに本を積み上げていると、なんだか酷く惨めになった。


 僕の身にも、物語の主人公みたいな非現実的なことでも起こらないかなぁ、なんて。


 妄想することが、僕の心の拠り所だった。

 この時の僕は、まだ知らなかった。非現実的な出来事にだって、理不尽は存在するのだと。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ