如何にして僕が引きこもったか
未完結。ボチボチ書いていきます。
現実とはまことにつまらないものであるなあと思い至ったのは、つい先日のことだ。僕はイジメという不合理、というか、普通に傷害沙汰に見舞われた。クラスの中心的人物の好きな芸能人だかと下の名前が被っているという、僕にはどうしようもない理由だった。
僕は現場の録音と病院の診断書を盾に警察へ直行し、補導とはいかないまでも主犯の男を停学に追い込み、そのことでまた新たな嫌がらせの標的になった。直接的な暴力の的ではなくなったにしろ、物を隠されたり、無視をされたり、形に残らない方法で。無視をされるのは別に構わないのだけど、物を隠されるほうは困る。
監視カメラを教室の後方に設置して現場を録画することで犯人を突き止めたはいいが、警察は暴力沙汰だった一度目よりもインパクトの薄い窃盗という犯罪に積極的な行動を取らず、まずは教師に伝えてはどうかという無駄な助言をくれただけだった。仕方がないので窃盗現場を顔がよく見える場面でプリントアウトし、まずは廊下の目立つ場所に掲示、それから学校関係者の住所に配送した。
すると僕は、名誉毀損で訴えられた。
窃盗をするような生き物に名誉があったとは驚きだった。例え事実であっても、それを周知させることは罪になるということらしく、窃盗犯の親と教師はお互いに訴えを取り下げることで和解しろと通告してきた。
なんかその辺りで、どうでもよくなってしまった。
くっだらねぇ。
僕は通告を丁重に無視すると、見切りをつけた。
翌日から、僕は学校に行かなくなった。いじめグループではないクラスメイトから登校しろと連絡はあったが、そんな気分になれなかった。
河原に佇み、最大音量でサイケデリックな音楽を流しながら読書に没頭した。できるだけ非現実的で幼稚な物を選んで読んだ。日が昇ってから落ちるまで、近所の奥様方やランニングをするおじ様方の視線にもめげず、ひたすらに本を積み上げていると、なんだか酷く惨めになった。
僕の身にも、物語の主人公みたいな非現実的なことでも起こらないかなぁ、なんて。
妄想することが、僕の心の拠り所だった。
この時の僕は、まだ知らなかった。非現実的な出来事にだって、理不尽は存在するのだと。