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第4話

息を切らしながら俺達は森の中を必死に駆ける。

まだだ。まだ、追ってくる。

もうどこまで走ってきたかもわからない。


追ってくる集団に火球をもう一発お見舞いしてやる。

すると炎の中を通り抜けて最後の抵抗と言わんばかりにレザーウルフが飛びついて来た。


体は勝手に反応していた。

そのまま長剣を大きく振り切る───


ついに最後の一匹が息絶えた。



「………………………………………………フゥ…」



思わずもれた一息。

それは二人の緊張をほぐし、戦いの終わりを意味した。



「………今回は…色々と驚いたわね。」


「………」



俺はその場に座りながら苦笑するのみである。

その「色々」に俺のことも入っているのだから。



「まず、一つ目。何故このカラハ森林地帯にAランクモンスターが出現したか。

二つ目。何故あんたが魔法を使えたのか。

三つ目。魔法を使えたのならば何故今まで使わなかったのか。

まあ、三つ目はわかるのだけど…最初と二つ目はかなりの疑問に思うわね。」


「……」


「…答えてくれないのかしら?私これでもあんたは信頼できる相棒だと思っていたのだけど。」



俺はゆっくりと口を開いた



「…まあ、俺には魔法を教えてくれる師匠が居た。というだけの話だ。」


「答えたようで答えになってないけど…おかげで生き残れたのだし、その件は後日たっぷりと聴かせてもらうわよ?」


「……話せる時がきたら、な?」


「怪しいわね…まあいいけど。さて?どうやって帰るの?一応依頼は達成できてるからいいのだけど…」



…なんだその目線は。



「………?」


「………♪」


「………;」



ええい、そんな期待に満ちた目で俺を見つめるんじゃない!

そんなにチラチラ見るくらいなら直接言えよ!

何をお前は…



「誰かさんの魔法で、街の近くまでひとっ飛び出来ないかなー?」


「うるせぇ!」



ついに口に出しやがったか。



「何よー。魔法使いなら出来るでしょ?」



何でこういう時に限ってこいつはこんなにキラキラと目を輝かすことができるんだ…

そっちの方が疑問でたまらない。



「……ジャンケン!ポンッ!」(←パー


「……」(←チョキ


「………お嬢様、慈悲をください。」


「よろしくね♪」


「………ハイ。」



仕方ないので魔法を使うことにした。

移動系の魔法は便利な割に魔力消費が激しいのだ。

この世界で言う魔力って血液なわけで…

つまるところ貧血を起こす割合がかなり高い。


嫌だ。やりたくない。

……やるけど。



「……行くぞ。適当に捕まっとけ。」


「ハーイ♪」


「…何でそんなノリノリなんだ…」



とにかく詠唱を始める。

まあ、詠唱が長いので戦闘中や切羽詰まった時にはなかなか使えないのだけど。


で、リーナは俺にもたれかかっている。

…嬉しいけど。嬉しいんだけどぉ!


疲れたのならそうと言えよ…全く素直じゃない…



「……ありがと。」


「どーいたしまして。」



……うん、可愛い。

ではなく、これから転移するのだ。

集中しないと胴体が半分だけ転移してました、なんてことになったら洒落にならない。



「じゃ、行くぞ?」


「準備はいいわよ。と言っても貴方の詠唱待ちだったけどね。」


「ハイハイ…転移。」



次の瞬間、俺達の体は光の粒子となって消えた…

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