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第1話

「今日も無事帰還、と…」


あの後俺はレザーウルフを五体程倒してから帰路に着いた。

レザーウルフはCランクのモンスターでこのカラハ森林地帯にもっとも多いモンスター。

ウルフという名から察してるやつもいるかもしれないがスピードはそれなり。

まず、Dランクから上がってきたばかりの傭兵には手ごわい相手だろう。

動きさえ見切ればどうにでもなるのだがそんな簡単にうまくいくはずもなく。

Cランクの傭兵にとってはこのレザーウルフを一対一で倒せればたいていのCランクモンスターは倒せるだろうというくらいだ。


ちなみにレザーウルフの討伐証明になる部位は爪。

これがレザーウルフの攻撃の主力。

意外と切れ味はいいので地味に痛い。

そこら辺に売っているレザーアーマーくらいなら簡単に引き裂いてしまうので注意。

直接肌に当たったら言うまでもないだろう。


そして今はその爪の引き渡し。

これで依頼達成である。今日の食い扶持くらいは稼げだろう。


「レザーウルフの爪、確かに五つ確認しました。ではこちらが報酬となります。」


そして目の前にいる彼女はリーナ。

蒼いストレートは肩のあたりまで届き、目は凛々しい美人である。

性格的には可愛い所もあるので他の野郎(主に傭兵)たちから大人気。


最近は依頼斡旋のアルバイトをしている子だ。


元は俺と組んでいた傭兵で、盾で防御を得意としていたのだが…

最近ヘマをして大怪我を負ったので暫くはアルバイトで稼いでいるらしい。


傭兵は一応資格さえ取れば依頼斡旋のアルバイトも出来る。

資格と言っても簡単な筆記試験と面接だが…

傭兵同士で手を組むことを危険視されているので規律は厳しい。

が、反面話が通じるので傭兵側としてはとてもありがたい話である。


「しかしそれにしてもまだ治らないのか?いい加減治ってもいいとは思うが…」


「そう簡単に治るものじゃないのよ…結構な怪我だったから。とはいえもうそろそろ復帰してみようとは思うけどね。」


「んー、じゃあ手頃なDあたりで行くか?」


「嫌よ。どうせならCあたりね。レザーウルフは復帰後の初戦にはぴったりだし。それにいざとなれば貴方を身代わりに…」


リーナの笑みが黒い…こいつ少し前までは俺と組んでたくせに…


「Σお前身代わりにするつもりなのかよ!」


「そうよ?文句ある?」


「これで文句がない奴は脳外科に行った方がいい!」


「ノウゲカが何かは知らないけど、今は貴方の方が戦い慣れてるんだから当然じゃない?」


あ、勿論異世界なので通じない言葉や存在しないことあはある。

文化という名の壁を感じる瞬間でもある。


「ぐぬぬぬぬ……わかった。いざというときは殿くらい務めてやるがあまり期待するなよ?」


「ありがと。さすが相棒ね♪」


このへんのやりとりは慣れたものである。

まあ、盾で受けるときはそれなりに衝撃が来るのでそれなりに体力は戻ったのだろうが…

それでも不安である。


万が一に備えておいた方がいいかもしれない。

まあ、こう見えても彼女はBランクなので逃げたりする分にはためらいないと思うが。


「で、どうする?武器はやっぱり盾とダガーあたりか?」


「そうね、出来るなら軽めの盾を。少し小さくても全然構わないから。」


「了解。以前持ってた盾はまだ無理みたいだな?」


「出来ないことはないけど…短時間が限界でしょうね。前みたいには扱えないわ。」


ふむ、やはりか…以前の彼女の腕前ならレザーウルフなど受け流してそのまま盾を叩きつけていたというのに…

あの盾、盾の中でも重い部類なのか…

というかそれを以前まで得意げに使っていた彼女も彼女なのだが。


「オッケー。じゃあ、いつにする?」


彼女は自信満々で即答した。


「明日♪」


「急すぎるわボケェ!」


「大丈夫よ。明日お休みだし。」


こんなんで大丈夫なのだろうか…以前と変わってない…

もう一度「怪我でもして懲りればいいのに…とか思ってる?」


「Σエスパー!?」


「ケントの考えそうなことくらいはわかるわよ?それより図星だったとはね…」


「スミマセンデシタ。ユルシテクダサイ」


彼女の盾捌きには俺の剣技は通じない。

むしろカウンター食らうのがオチである。


そして受付でこんなにサボってていいのかとか言う疑問が浮かんだが幸運なことに納品などのある傭兵はいないようだ。


「と、そろそろサボってると思われそうだしこのへんにしましょ。お給料は減って欲しくないし。体重は減って欲しいけど。」


苦笑しつつ俺はそのままギルドを出る。

小さくてもいいから軽い盾とダガー、か…

ダガーは俺も持っているので買う必要はないが盾は使わないので持っていない。

さて、どうしたものか…


「へい、兄ちゃん。今日は盾が安く入ったんだ。見てかないか?」


防具商人がその不安を吹き飛ばしてくれた。

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