序章:少年
「この依頼をお受けになるのですか?わかりました。では気をつけていってらっしゃいませ。」
まるでどこかのゲームのようだがこれはちゃんとした現実だと言っておこう。
ここは異世界。要するに剣と魔法のファンタジーが存在する異世界である。
冗談みたいな話だが冗談ではない。個人的には笑い話にすらならない。
俺───『風宮健斗』はある日突然異世界に……飛ばされた。
良くある物語構成だなぁ…とか思った人たち、こっちはガチです。
ええ、本気と書いてマジです。一個人の命がかかってます。……Σやめて!ここで見捨てないで!
とりあえず俺の簡単な自己紹介を。
俺は風宮健斗、高校二年生。
歳は17、誕生日は…まあこの世界と元居た世界ではいろいろ勝手が違うのだがひとまず7月21日
好きなものは甘いもの、と…これくらいでいいかな。
では物語を進めていこう。
ここはウインド草原という草原の奥地にあるカラハ森林地帯だ。
次に俺は何をしに来ているか。勿論、モンスター討伐。
一口にモンスターと言ってもEランクの雑魚、もしくは無害な奴らからSランクの怪物みたいなやつも存在するのだが…
この森林地帯には頑張ってもBランク程度の敵が極稀に出てくる程度。普段はCランク程度のモンスターが出てくる場所だ。
危険度がケタ違いに上がるBランク以上の敵がよく出るのはダンジョンの奥の方くらいだろう。
つまりこのあたりは比較的安全地帯なのだ。
で、この周辺にギルドからの依頼を受けてきたのがこの世界で傭兵としてやっていっている俺である。
今回は「Cランクモンスター五体の討伐」
随分とまあ大雑把だとは思うが常時受注可能依頼なので仕方ないと言えば仕方ないのだが…
ちなみにこの世界では討伐した証としてモンスターの部位をはぎ取ってくることが条件だ。
じゃあスライムとかどうするんだよと思うかもしれないが不定形のモンスターや剥ぎ取れる部位がないモンスターは
石や宝石などの物質をどこからか生み出す。このへんのメカニズムはわかっていないらしい…
ということで早速モンスター狩りである。ちょうど獲物も見つけたし────
そんなわけで俺は腰の長剣を抜いて一目散に駆けていった────