ある大嵐の日、リアルでもPCでも居場所を失った俺はふと思った
その日は一日中雨が降り注ぎ、外の風で閉め切った部屋が微かにゆれていた。
蒸し暑い部屋の中から窓の外を見物中。ずいぶん暇な御人ですね?
やりたいことは、なんにもない。やんなきゃいけないことは、山積み。
このままたまってって、爆発したらどうします?「どうもしない。」
暇だけど俺は暇じゃないんだ。俺は。だから御誘いは断らせていただきます。
だるいんだ。動けないんだ。動かないんだ。いや動きたくないだけなんだ。
言い訳だって理屈じゃわかってる。でも空っぽだ、時間はただ経過していく。
気付いた時にはやり直せなくなってるもんだ。
「今頃気付いたかい?」
強情な風が俺を嘲笑い、俺は屋上へと走る。
「なあ、風って毎日楽しいわけ」
「待っているのは暗い闇よ」
風は言う。
「なんだったら、いっぺんなってみる?」
強い風が吹き、俺は足を滑らせ風になった。
地上10メートルからダイブ…?
「どう、風って。あなた好みかしら、この姿」
「死ぬ、のか」
息を荒げて問うてみる。
「俺は、死ぬのか!!」
風は無言だった。
「い、いやだ、いやだああああああああ」
目が覚めると、薄暗い部屋にいた。
時間は止まってる。
……夢?
それなら、俺にもまだ、居場所ってもんがあるのかもな。
死に対し、激しい嫌悪を持てた俺ならばきっと、まだあるはずだ。
恐縮です。