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ぺんぎん日和  作者: 瑛香
1/1

チャプター0・はじまり

玄関を開けると、そこにはぺんぎんが立っていた。


あたしがこたつでうつらうつらしつつアンドロイドと下らない正月番組を眺めていると、普段は鳴ることのない我が家のインターフォンが鳴った。

我が家のインターフォンはまさしく飾りとも言うべきもので、訪ねてくるような知人は皆何も言わず勝手に上がり込んでくる。唯一最近使用されたのは今、目の前で甲斐甲斐しくあたしの世話を焼いているアンドロイドがうちに初めて来た時だ。

あん時は大変だったな。メールで、リキをそっちにやった。後は任せた。って一文が親友から来たきりだったからなにが来たのかよくわからなかったし。

兎に角、インターフォンが鳴ることは我が家では稀だ。

リキはここにいるし宅配便かなぁ。

発信源についてとりとめなく考えている間にリキがはーいなどと表の何者かに返答しながら玄関へ向かい覗き窓を覗いた。

「外にいるお客様はぺんぎんの様ですよ。」

覗き窓を覗いたその姿勢を崩さずにリキが伝えてきた。

ぺんぎんかあ…ぺんぎんなんて名前の知り合いなんかいたかな、いないと思うんだけど。

いやまてよ、そもそも名前だろうか。見たまま伝えているとしていわゆるぺんぎんがそこに立っているのか、覗き窓にぬいぐるみを押し付けている可能性もあるな。いや、でもそんな意味のない行動をする知り合いがいないな。

「そんな知り合いはいないと思うけど。」

確信はもてないがぺんぎんなどという知り合いはいないはずなのでそう答えた。

「でもぺんぎんがいるんですよ。とりあえずあけますね」

がちゃり。

そう言ってリキは玄関を開けた。なるほど。外には確かにぺんぎんがたっていた。


「ボクらは南極からとんできたんです。」

「まぁ、それは大変でしたわね。ところでお茶はいかが?」

なんだ、僕らといったか今。まだいるのかこんな非常識な生物が。だいたいなんでリキは当たり前にお茶を出してるんだ。お茶をのんで喋るぺんぎんでしかもこたつにあたるだと。そもそも生物なのか?アンドロイドじゃないだろうな。

そうか、それならこの理解しがたい状況にも説明がつくか。誰だこんな面白くない冗談を仕掛けた輩は。

あまりのことに現実を受けとめることができずに茫然としていると、リキがぺんぎんを中へと上げて話を進めていた。

「沙里聞いてる?」

リキがおもむろに心配そうな顔をこちらに向けて聞いてきた。

いや、聞いてるといえば聞いてるけど脳が処理を拒んでるというか

「…なんでぺんぎんが喋ってんの?」

とりあえず根本的なことを聞く。

いや、でもまず生き物であるかから聞くべきだったか。

「やっぱり聞いてないんじゃない。今自己紹介して下さったわよ。だから彼は羽衣ぺんぎんといって空が飛べて喋れるぺんぎんなんですって。」

さもありなんとばかりにリキが答えてきた。

こいつ、ほんとにアンドロイドかよ。適応しすぎだろう。

だいたい聞いたことないよ、羽衣ぺんぎんなんて。そもそもなんでリキは当たり前に応対しているのだ。ていうかあれだ、その前にぺんぎんてお茶飲んでこたつにくつろいで平気なもんじゃないだろ。

よく判らないがリキが聞き出した情報によると、間違いなくこいつは生き物で学術的には未発見の新種のぺんぎんらしい。お茶ものむし、こたつも大丈夫で、好きなものは温泉だそうだ。

南極に温泉なんかあっただろうか。

とりあえずそういう難しいことはまったく専門外でわからないから得意そうなやつを呼ぶことにした。リキの生みの親であたしの親友だ。

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