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『聞池 該』名義作品

震える月

作者: 聞池 該

 月が震えていた。


 故郷から仕事場へ戻る列車の中、車窓から見上げる三日月は、弱々しい線のようなその身を確かに震わせていた。何に怯えるのだ、そんなに天空の孤独が怖いのか、おまえは。


 母は年老いていた。

 前に帰った時よりも明らかに、身体の動かし方がしんどそうだった。私が重たい荷物をその手から引き受ける時、血管の詰まった薄皮のようなあなたの生命に、思わず嗚咽が漏れそうになった。


 私は最近、首が震える。

 素面でもまるでアルコール中毒だった祖父のように、自動的に私の首は、痙攣のように左右に振動を繰り返す。私も歳をとったのか──


 ふとまた月を見上げる。


 月はどこにもなくなっていた。







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― 新着の感想 ―
描写で読ませる、お話ですね。 淡々と情景を綴っているだけで、行間から伝わってくるナニか……ナニか、としかいえない、すさまじいものの片鱗を感じます。 それは恐怖であり、または郷愁であり……あまり語ると野…
スマホのように震えてるのはアンタやないかぁ!?
おおおお恐ろしいじゃないですか!これは女には恐ろしいヤツでは? 老いが…老いが…怖いーーー! アンチエイジーーーング!!!!! って勝手に解釈してしまいました:(;゛゜'ω゜'):ガクブル
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