瞳の奥に、筆を入れて
湊は、DMの通知音とともに内容を確認する。
剛からのDMだった。
剛DM「こないだは変なこと言ってごめん。なんか、見とれちゃって……湊、すごく綺麗だった。青い目とか、あの髪とか……良かったら今度、ちょっとだけ時間もらえない?」
湊(結局僕の案を軽く変えたのを採用したのか……)
湊は、自分と対話しているようで、複雑な想いだった。
楓「どうしたの〜?」
楓が何かを察知して近づいてきた。
急いで、携帯を隠す湊。
湊「いえ、何でもないですよ〜。」
湊(このことに関して誰に相談しよう……
ま〜あの人達にでも相談するか……)
湊の頭の中にはルカとレイの顔が浮かんでいた。
湊は、ワクワクと不安で胸がいっぱいになっていた。
湊「ま〜それより絵でも描きましょう。」
湊は、絵を描く準備をしていた。絵の具と画用紙と筆を用意し、絵を描く。
湊は完成途中の絵の続きをスタートさせていた。
そこには美しい美少女が描かれていた。まだ制作途中だか、繊細で美しいラフが描かれていた。
湊は、集中して色を重ねていく。白髪のハイライト、繊細なまつ毛、美しいハイライトが入ったブルーの瞳、艶のある唇。チークの影響かその少女は人に恋するように見えた。
湊が筆を動かすたび、少女の瞳がこちらを見つめ返すように思えた。
その顔は、どこか自分に似ている気もして——
湊はそっとため息をつき、さらに青を重ねた。
楓「本当にいつ見ても綺麗よね…… 圧倒されるわ……」
楓は湊の絵に心奪われていた。
湊「そんなことないですよ。楓先輩の絵も凄い素敵ですよ。」
湊が照れながら楓を褒める
楓「私なんて全然よ。絵はいつから何きっかけで、始めたの?」
楓が軽く笑いながら、湊に質問する。
湊「幼稚園の頃からですかね。家は親が、アクセサリーを作ってて、それから、美しいものが好きで、絵を描いたりしてます。」
湊は、軽く笑う。
楓「へ〜〜そうなんだ。素敵ね!!」
楓が笑いながら褒めた。
陰助「楓先輩僕の絵も見て下さいよ〜」
陰助が不気味な笑顔で近づいてきた。
陰助の絵は、ツインテールの美少女を目指した何かだった。
顔のバランスは崩壊し、目はどこかに迷子。手にはなぜか斧を持っていた
陰助「どうです…… 可愛い妹キャラでしょ……」
楓「陰助…… きっしょい…… っていうか何その絵あんた本当に美術部?」
楓が死んだ魚の目で陰助を見る。
陰助「なっ……!!!」
陰助は驚愕した。
陰助「そっそんな〜……よく見てくださいよ!!」
陰助は絵を持ち楓に近づく。
楓「辞めて!!お願いだから近づいて来ないで!!」
楓は陰助から逃げ、美術室を走り回った、その瞬間、湊の絵が崩れた。
湊が無表情で二人を見る。
湊「ちょっと二人とも……」
無言で2人に近づく湊
楓「ご…ごめん。わざとじゃないの。」
陰助「ぼ…僕はただ、先輩に絵をみてほしくて……」
二人が慌てて湊を説得する。
湊がゆっくり2人に近づき、不気味に笑った。
楓「いや〜〜〜〜………!!!!」
陰助「いや〜〜〜〜〜………!!!」
二人の叫び声と共に、その日の美術部の活動は終わった。