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変身の午後と小さな秘密

湊は自室に戻り、静かに化粧品を手に取った。

棚の奥からアッシュグレーのロングウィッグと、白いワンピースを引き出す。

メイク道具一式を並べる手つきは、すでに迷いがなかった。


 


ブルーのカラコンをそっと入れる。

下地、ファンデ、コンシーラー――ベースメイクを整えていく。

ホットビューラーでまつ毛を持ち上げ、繊細にマスカラを乗せる。

青みピンクのアイシャドウ。シルバーのグリッター。頬には淡いチーク。

仕上げのリップは、淡い血色を添えるように。


 


最後にウィッグを被り、白のロングワンピースに袖を通す。


 


鏡の中には、もう地味な少年はいなかった。

そこにいるのは――儚げな美少女だった。


 


湊はリングライトを持ち出すと、嬉しそうにスイッチを入れた。

光の中で自撮りを数枚。

どれも「完璧」だった。


 


すぐにSNSへ投稿する。

いいねが、またひとつ、増えていく。



ミナ「ふふ……今日のは上手くできたかも」

画面を見つめながら、湊――“ミナ”はつぶやいた。


自分の描いたイラストや女装写真を投稿するアカウント。

絵より写真の方が反応がいいのは、ちょっとだけ複雑だ。

でも、メイクも撮影も、楽しくてやめられない。



学校も部活も休みの今日は、久しぶりに女装仲間とオフ会だ。



可愛いバッグを肩にかけ外出する。


待ち合わせは新宿。いつもの場所に、今日はちょっとだけ胸が高鳴る

お気に入りのイヤホンで音楽を流しながら、電車に揺られていく。

その胸の奥には、少しの緊張と、大きな楽しみが混ざっていた。


到着場所についた。


そこに立っていたのは ゴシックな黒のフリルに、赤いカラコンが映える地雷系メイク。左目には眼帯、右手には黒い包帯を巻いていた。

ツインテールの巻き髪が風に揺れる。……あれは、たしか……。

?「フハハハ、久方ぶりだな……ミナよ……」


その声はその美少女から放たれてるとは思えないほど低い声だった。


ミナは思わず、ちょっと肩をすくめる。奏「今日も全開だなぁ……」


周囲の人々も思わず振り向く。


彼女…いや、彼の名は真堂ルカ、ゴシックな地雷系の女装をするインフルエンサーだ。


ものすごい厨二病だが、メイクは上手く化粧品に関する知識も凄い


ミナ「お久しぶりです。ルカさん」


ミナは苦笑いしながら対応する。


ルカ「ふむ……今日は珍しくブルーのカラコンを付けてるのだな……透明感が出てよく似合っておるわ……」


ルカが軽く笑いながら奏を評価する。


ミナ「ルカさんも今日の巻き髪ツインテール可愛いですよ。」


ミナが褒めてる時だった。


ルカが人の気配に気づく


ルカ「何か来る!」


その時茶髪のセンターパートに水光のブラウンのカラコン、白いパフスリーブに黒いロングスカート、その美しさに男性の視線が吸い寄せられていた。


?「お待たせ〜〜」


その低音ボイスに周囲は振り返る


彼女いや、彼の名は白崎 レイ、大人の色気と可愛さを目指す。女装インフルエンサーだ、


レイ「あっ……この声じゃまずいわよね……」

(周囲がざわつく)

レイ「……こほん、失礼♡」


ミナとルカ、同時に「切り替え早っ!」と心の中で突っ込んでいた。


レイは女声に切り替わっていた。


レイ「じゃ〜今から行こうか♡」


可愛らしい声をあげながら


ルカ「ふふふ…久しぶりだなレイ」


薄ら笑いを浮かべながらルカは喋りだす。


レイ「久しぶり、今日も可愛いね。ルカちゃん。今日のメイク、アイラインタレ下げてるのね。」


レイが微笑みながらルカのメイクを褒める。


ルカ「ふっ… 今日は可愛い系を意識して男に媚びようと思ってな…」


レイ「へ〜そうなんだ。その眼帯と手の包帯はどうしたの?」



ルカ「ふっ…これは我が内に秘められた漆黒の魔力を封印する為の拘束具だ…」


ルカが得意気に笑いながら流暢に喋りだす。


ミナ「可愛いキャラで、いたいのか…カッコイイキャラでいたいのか…」


ミナがバレないくらい小さい声で呟く


ルカ「ん?」


ルカが奏を振り返る


ミナ「いえいえ、なんでもないですよ〜…」


ミナが苦笑いしていた。


ミナ「そういえば今日はどうするんです?」


レイ「そうね〜〜 今日は伊勢丹行ってから、ドンキに行きましょう。新しい化粧品も見たいし」


ルカ「ふっ…… そうだな。新しい魔具の調達も必要だしな……」



3人が歩いてる所に泣いてる女の子がいた。


ルカ「どうしたの?ママと離れ離れになったの?」


ルカはまるで優しい聖母のような微笑みを幼女に向けた。


ルカ「!!っ…… どうした小娘よ。何があった」


まるで我に返ったようにいつもの厨二病キャラに戻った。


小さい女の子「猫のまこがいなくなっちゃって……」


レイ「散歩してたの?」


レイが女声で優しく話しかける。


小さい女の子「うん…… どこ行っちゃったんだろ……」


女の子は落ち込んでいた。


ルカ「ふっ……妾がどうにかしてみせよう。小娘よ。その獣の特徴を妾に伝えよ……」


ルカはペンと紙を用意した。ルカはメイクが得意だし、絵も得意なのだろう。


ルカ「う〜む…… こんな感じか……」


女の子から特徴を聞き絵を描いていた。


そこには生物のような何かが、四本足の何かが描かれていた。


ルカ「これを街中に配れ!」

ミナ「いや…猫って言ってたのに、これ…四足歩行の古代兵器じゃないですか?」

レイ「ちょっと待って、目が6つあるし……」

女の子「……これ、まこじゃない……」


ルカは落ち込んでいた。


レイ「ん〜…どうしようかしら… あっ…私に任せて!!」


そう言うと、レイは近くの男性に声を掛ける。


レイ「ね〜お兄さん♡ あの〜少し助けて欲しくて…」


レイは上目遣いで男を見る。


男「はい!!なんでしょう!!」


男は顔を赤らめながら、紳士のように対応する。


レイ「猫探して欲しくて… 特徴は〜_____」


レイは次々に可愛らしい声で男に話しかけていく。


数分後のこと…


男たちが猫を見つけ出した。


小さい女の子「よかった〜〜!!お姉ちゃん達ありがとう!!」


女の子は大喜びしていた。


レイ「いや〜なんとかなって良かった♡」


レイが一息つく。


男「いや〜良かった。もし良かったら、この後、お茶でも……」


男達がレイ達をデートに誘う。


レイ「いや〜〜ごめんなさい♡。実は私」


可愛らしい女声でレイは答える。


レイ「男なんだよね。」


低音のイケメンボイスが流れた。


その声を聞いた瞬間男達は固まった。


男A「えっ……今、何て?」

男B「お、男……?」


男C「つまり……俺たち、今――」


3人「“男にナンパしてた”ってコト!?」

(全員ダッシュで走り去る)


レイ「さ〜行こっか♡」


レイは笑顔で振り返る。


ミナ「レイさんあれで良かったんですか?」


ミナがレイに疑問をぶつける。


レイ「良いのよ。男はげぼっ…… じゃない間違えた。男の人に頼るのは女の子の特権よ♡ それより買い物を楽しみましょ♡」


レイは笑いながら言い、3人はドンキに向かった。







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