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ボクらのキセキ  作者: Kyomu
8/12

嫌な予感は的中することが多い

 あれから月日が経ち、一週間後に3歳になる。ちなみにこの世界の一年は地球と同じく365日で、一週間が7日で、曜日が月・火・水・木・金・土・日になっている。正直異世界だと一年の日数や曜日の数や呼び方が違うと思ったのだが、何故か地球と同じになっている。……ホント、何でだろうね。

 

 それはさておき、部屋で本を読んでいると、世話係のメイドであるマリネさんがこう言いだしてきた。

 

「そういえばミリア様はもうじき3歳になられるので近々お披露目会があるのではないでしょうか」

 

「え、お披露目会?なにそれ」

 

「貴族は子供が3歳になるときにお披露目会を開いて子供を他の貴族に紹介するんですよ」

 

 なにそれ、知らなかったんだけど!? てことは人前に出ないといけないの!? 前世でも人前に出るのは苦手だったんだけどなぁ…。

 

 そう思っていると、部屋の扉がノックされた。部屋に来たのは父の執事であるディラーさんだった。

 

「お嬢様、旦那様がお呼びです。大事な話のようなのですぐにお向かい下さい」

 

 このタイミングで呼ばれるということは、おおよそ何故呼ばれたか分かったが、行かない訳にもいかず、父の仕事部屋に向かった。


―――――――――――――――――――――――――


 父さんの仕事部屋のに着くとマリネさんが扉をノックしてくれた。

 

 「入って良いぞ」

 

 入室の許可が降りたので、中に入る。

 部屋の中には、両側の壁に難しそうな本が沢山並び、中央には会話をする為に低めの机とソファー二台が向かい合って置いてある。

 さらに、奥の方には仕事机があり、まだ仕事が沢山残っているのだろうか、机の上に沢山の書類が置かれてあった。

 部屋の中には、父さんともう一人、見慣れない女性がいて、既にソファーに座っていた。

 

「ああミリアか、さあ、そこに座ってくれ」

 

 父に催促され、部屋にあったソファーに座った。マリネさんには隣に座ってももらった。

 

「……で、父さん、要件ってなに?」

 

 大体予想はついているが、一応聞いてみる。

 

「まぁまぁ、そんなに身構えなくても良い、なんならパパって呼んでくれても良いんだぞ」


 この人は何を言っているのだろうか、普通なら貴族の子は両親のことを『母様』や『父様』と呼べと言われるのだろう。普段の『母さん』・『父さん』呼びも直せと言われると思っていたのだが、むしろ『ママ』や『パパ』と呼ぶことを勧められるのだ。

 

 普段からも滅茶苦茶甘やかされて育っている。両親の自分への溺愛っぷりが半端じゃないし、こんなに甘やかされて、逆に気が引けてくる。

 もしかしなくてもうちの両親は所謂『親バカ』というやつなのだろう。


 「それはやだ…」

 

 『パパ』と呼ぶのは(精神年齢的に)恥ずかしいのでしない。

 

「だ、駄目か……」

 

 そう言うと、父さんはガックシと聞こえてきそうなくらい落ち込んでいた。

 

「まぁ、それはともかくだ、聞いているかもしれんが、来週、ミリアのお披露目会を開催しようと思っている」


やはりそうか、正直やりたくない。まあ、やらなければいけないのだろうが。

 

「そこでだ、パパはミリアが最高に可愛く見えるようにドレスを用意しようと思う」


 ……え? ドレス着るの? すんごい嫌なんだけど。

 

「ボクはドレスとか着たくないんだけど…」

 

 体の性別は女子だけど、心の性別は男子なのだ。ドレスを着た日には恐らく恥ずか死してしまう。

 

「安心しろ、パパが超一流の洋裁師に頼んでおいたからな、めちゃくちゃ可愛いドレスを作ってくれるぞ」

 

「そういう問題じゃ無いんだけど……。もしかして、父さんの隣にいる女性は……」

 

「そうだ、今回ドレスを仕立てくれるレスドさんだ」


「初めまして、レスドと申します。今回はお嬢様のドレスを仕立てさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします」

 

やはり、仕立て屋さんだったようだ。今気付いたが、この人の名前反対から読むとドレスになるんだな。

 

 そんなどうでもいいことを考えていると、レスドさんがまるで獲物を狙う彪のような目つきで迫ってきた。

 

「では、早速お嬢様のお体を採寸させていただきます。どうぞ、こちらに」

 

「え、ちょ――」

 

「じゃ、そういうことでよろしくお願いします」

 

「え、父さん!?」


 父さんに、裏切られてしまった。……こんちくしょう。

 

 その後、ボクはレスドさんに連れられ、別の部屋に移動し、体の隅々まで採寸されたり、色んなドレスを着させられた。レスドさんは作業中、ずっと目がギラギラしていて怖かった。プロの人っていつもあんな感じなのかな?

 

 そう思い(現実逃避し)ながら作業が終わるのをただひたすら待っていた。

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