表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボクらのキセキ  作者: Kyomu
12/12

怖い場所

今回は説明会になってしまいました。説明が多くてすみません。

 あれから月日は経ち、夏になった。

 この季節になると、蒸し暑い日が続くので、どうも気が乗らない日が多かった。

 

 今日も、書斎から本を持ってこようと思い、廊下を歩いていた。すると、前から誰かが歩いてくるのが見えた。


「やぁ、ミリアじゃないか、元気にしてたか?」


 どうやら歩いていたのは叔父さんだったらしい。

 実は叔父さん、魔法の才能があるらしく、普段は家の修理や迷い猫の捜索などの依頼をこなし、生計を立てているらしい。

  街の人々からはとても好かれており、けっこう忙くしているのだそうだ。

 

 そのため、ここに来ることは珍しく、大体はボクに会うためか、父さんに何か報告することがあるためにきている。


「こんにちは、叔父さん。今日は何の用できたんですか?」


 叔父さんは普段からボクを持ち上げようとしてくるので、少し警戒しつつ話しかけた。

 

「釣れないなぁミリアは、もっと『叔父さんだ、わ〜い、抱っこして』とか言ってくれたら良いのに……」


 そう言って持ち上げようとしてきたので、後ろへ下がって回避する。

 最初の頃は、よく持ち上げられていたが、ここ最近は回避出来るようになってきた。


「……ち、駄目かぁ。まあ良いや、今日はレオンに報告があって来ただけだし」


 どうやら今日は、父さんに会うために来たようだ。

 ちなみにボクに会うために来ることが多く、九割はボクに会いに来ている。

 叔父さんも父さんのように溺愛してくるので、あの二人はやっぱり兄弟なんだなと思う。


「へぇ〜、叔父さんがボクに会いにくる以外の理由でここに来るのって珍しいですね。何を報告しに来たんですか?」


 こういう仕事の話を聞くのは余り良くないと思うのだが、気になったので聞いてみた。


「う〜ん……。余り話すのは良くないんだがなあ……。まぁミリアが将来この土地の領主になるかも知れないし聞いて損はないだろ。ミリア、『ダンジョン』って知ってるか?」


 ダンジョンってファンタジー系のラノベとかでよく出てくるモンスターの巣窟みたいなやつのことなのだろうか。

 違うもののこと指すかましれないので一応知らないことにしておく。


「いんや、知らないよ」


「ダンジョンというのは、魔物という危険な生き物が生み出されている洞窟、もしくは建造物のことで、大昔に神によって生み出されたとされているんだ。ダンジョンの中にはお宝が沢山あって、『冒険者』という職業の人々は主にこのダンジョンに入って得たお金で暮らしているんだ」


 へぇ〜、ファンタジー世界だなとは思っていたけど。ダンジョンとかもあるのか。


「それが叔父さんの報告することと何の関係があるの?」


「ダンジョンは魔物を常に生み出してる『活動ダンジョン』と生み出さずに一時的に活動していない、もしくは活動しなくなった『非活動ダンジョン』の二種類に分けられるのだが。実はこの土地には一つの非活発化ダンジョンがあるのだが、ここ最近そのダンジョンの周辺に魔物の姿が確認されることが多いんだ」

 

 それはつまりダンジョンが活動をし始めたということなのではないだろうか。この土地は大丈夫なのか不安になる。

 

「え、それって大丈夫なの!?」


「もし活動していてもしばらくは大丈夫だが、早めに対策を練らないと大変なことになる」


「なんで?」


「ダンジョンで生み出された魔物は、死ぬとダンジョンの養分になるのだが、その魔物も繁殖してどんどん増えていってしまうんだ。この状態を放置してしまうとダンジョン内の魔物が溢れかえって『スタンピード』という現象が起きて沢山の被害が出てしまうんだ」


 どうやらボクが思っている数倍はダンジョンは危険な場所らしい。

 そんな事が起きてしまったら恐らく沢山の人が死んでしまうだろう。それだけは起きて欲しくない。


「まぁ、ダンジョン内ほどではないけど山や森には魔物が住んでいるし、そもそもダンジョンが活動を始めるまでには百年は掛かるって言われているし、今はまだ活動休止してから六十年だからあまり心配しなくても大丈夫だよ。変に心配させちゃってごめんね」


 そう言って叔父さんは頭を撫でてきた。いつもなら回避するけど今は少し怖かったのでそのまま撫でられていた。






 しばらくすると、叔父さんがはっと何かを思い出したような顔をした。


「やべっ、本来は報告しに来たんだった。それじゃあまたね、ミリア」


 叔父さんは手を振りながら廊下を小走りしていった。


 ボクはそれを見つめながら、撫でられた感覚に浸っていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ