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ボクらのキセキ  作者: Kyomu
11/12

この人苦手……

「ねぇミリアちゃん、一緒に回ってみない?」


「うん、良いよ」


 あれから、リアちゃんと沢山話をしていた。とは言っても基本的にはリアちゃんが話題を振って、ボクがそれに答えるという感じだ。

 今は一緒に会場を回り、気になったものを食べている。


「ねえ、それどんな味がするの?」


 今食べているのは、鶏肉の味がするミートボールだ。


「食べてみる?」


「うん、食べる!」


 そう言ってボクの皿からミートボールをとり食べ始めた。食べてる様子を見て思うのだが、この子、小動物みたいな食べ方をするんだよな、……めっちゃ可愛い。


「リアちゃん、ほっぺにソースが付いてるよ」


 ほっぺに付いたソースを、ハンカチで拭き取ってあげる。


「ありがとう!」


 満面の笑みで言ってくれた。何だろうな、この子と接していると妹を世話している様な感覚がする。


 こんな調子で、お腹いっぱいになるまで食べ歩いていた。


―――――――――――――――――――――――


「私もう帰らなくちゃ。ミリアちゃんまた今度会おうね!」


「うん、またね!」

 

 どうやらもう帰らないといけないらしい。また会う約束をしてリアちゃんと別れた。

 さて、何をしようか……。

 ふと、父さんの方を見ると、見知らぬ男性と会話いていた。視線に気づいたのか、ボクの方をみると手招きをした。

 取り敢えず父さんの元へ向かうことにした。


「どうかしたの、父さん」


 話しかけると、父さんは話をしていた男性を見て言った。


「ミリアはまだ会ったことが無かったよな、こいつは俺の兄のリチャードだ」


 どうやら父さんが話をしていたのは、ボクの叔父にあたる人らしい。

 リチャードさんは、父さんと同じ茶髪に水色の瞳をしている。改めて見ると、確かに父さんとそっくりだ。

 叔父のリチャードさんは、ボクを見ると笑顔になって口を開いた。


「へぇ〜、君がミリアちゃんか? とても可愛いな、俺はリチャードだ、よろしく」


 そう言って手を前に出したので、握手しようとした。しかし、手を握る前に腰に手を回され、そのまま持ち上げられてしまった。


「うわあぁぁ!?」


 いきなり持ち上げられたことで、驚きの声を上げてしまう。

 持ち上げられたかと思ったら、次は顔を覗き込んできた。

 叔父さんの目を見ていると、底が知れない気がして、少し怖かった。


「ふ〜ん、シンシアさんに似て可愛いな、これが後十三年後だったら思わず口説いていたかもな」


 無言でじっと見つめてくるので、思わず目を泳がせる。正直とても気まずい。


「おい止めてやれ、嫌がってるじゃないか」


 流石に見かねたのか、父さんが止めに入ってくれた。


「いや〜すまない、姪が出来たのが嬉しくてな、ついはしゃいでしまった。ごめんなミリアちゃん、叔父さんついはしゃいじゃって、怖くなかったか?」


 そう言って床に下ろしてくれた。

 

「いや、大丈夫です……」


 早めに降ろしてくれて良かった。ずっと見つめられていると、全てを見透かされているような気がして、なんとなく嫌だったのだ。


「ごめんなミリア、コイツはいつもテンションが可笑しいだけで本当は優しいんだ、だから許してやってくれ」


 父さんの言葉に、いつもこんな感じなのかと少し呆れてしまう。

 

「うん、ちょっとビックリしたけど大丈夫だよ父さん。でも、あれはあまりしてほしく無いかな」


 そのことを聞いた父さんは、ため息をついた後、叔父さんを冷ややかな目で見ていた。


「……兄さん、多分ミリアに嫌われたぞ」


 それを聞いた叔父さんは『ガーン』という効果音が付きそうなほど明らかに落ち込んだ。


「は、初めての姪に嫌われた………」


 この人なんだか子どもっぽいな、わざとそうしていないか? まあ、多分悪い人ではないのだろうが、第一印象があれだからな、この印象はそんな簡単には変わらないだろう。

 少し可哀想と思ったが、自業自得なので何も話しかけられずにいた。

 

 その後叔父さんは、しばらくの間落ち込んでいた。

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