表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ボクらのキセキ  作者: Kyomu
10/12

お披露目会①

久しぶりの投稿だぁ〜〜(汗)。

 会場に着くと、既にたくさんの貴族が集まっていた。

 会場はニ階まであり、ボクたちはそこから会場の様子を見ていた。一階には、どのくらいの数が居るのか分からない程に貴族で溢れていた。

 

「うわぁ…人がいっぱいいる、緊張するなぁ」

 

「大丈夫ですよ。お嬢様は礼儀がとても良いので、皆さん感心すると思いますよ」

 

「そうだといいんだけどね」

 

 ボクは不安を抱えながら、一階の様子を見ていた。

 一階では、お父さんが他の貴族たちと談笑している。

 すると、お父さんが会場の前に移動し、手を叩き注目を集めた。

 

「本日は、私の娘のためにお集まり頂き誠に有難う御座いました。それでは、娘を紹介しましょう」

 

「お嬢様、そろそろ出番です。頑張ってきてください」

「うん、分かった」

 

「ミリア、降りてきなさい」

 

 ボクは緊張しながら一階へと続く階段を降り始めた。

 階段を降り、お父さんの近くまで行き、さらに前へと出ると、意を決して言った。

 

「みなさん、はじめまして。ミリア・アルタスです。今夜は私のためにお集まり頂き有難うございます。まだまだ未熟者ですが、どうぞよろしくお願いします」

 

 そう言い切ると、わっと拍手が起こった。

 ふぅ、なんとか言い切った……、緊張したぁ〜〜。

 ボクは、緊張感に耐えられなくなり、そそくさとお父さんの元へと戻った。


「よく頑張ったな、とても良かったぞ」

 

 元の位置に戻ってくると、お父さんが褒めてきた。ボクは少し照れて、目線を外していた。


「しかし、三歳のお前がどこであんな言葉を覚えたんだ? 三歳であんな丁寧な言葉を言える子はそう居ないぞ」


 それを聴いて『ギクッ』となった。ボクには前世の記憶があるからある程度の言葉遣いは出来るのであって、普通この歳の子供はこんな言葉遣いはしないのだろう。

 

「ま、前に沢山の本を読んでいたから、難しい言葉を言えたんだよ」


 嘘は付いていない。この世界に転生してから気付いたのだが、よく異世界モノでみる『自動言語習得』だとかそんなスキルは無かったのだ。

 転生させてもらい、こんなことを言うのもなんだが、言語能力くらい最初から欲しかった。しかも、日本とは全然文法が違ったので、ある程度話せるようにになるまでは随分と、時間が掛かってしまった。

 ある程度文字が読めるようになってからは、ひたすら本を読んで言語を完璧に使えるように、毎日家の書斎に篭りきりだったので。そこそこ話せていても当然である。

 まぁ、そんなことをして一日中書斎に篭り切りだったので、両親に心配されたのは言うまでもないが。


「本を読むだけで、そんなに上手く話せるのか? まあいいか。さあ、いつまでもここに居ないで色々と見て回ったらどうだ?同年代の子も来ているから、友達を作るのも良い事だぞ」


 うっ、友達か……。友達作るのは苦手なんだよなぁ。

 

 ボクは、前世ではガチガチの陰キャだったのだ、友達はそこそこいたが、正直初対面の人と話すのは緊張する。

 

 まぁ、ユート達には、恥ずかしいことをされられたことが何回かあるが。

 ……やめよう、前世の黒歴史を思い出してしまう。

 

 余計な考えを振り払い、流石にいつまでもここに居るわけにはいかないので、取り敢えずマリネさんを連れて会場をぶらぶらすることにした。


 会場には、様々な料理が用意されており、ちょうどお腹が空いていたので、適当に気に入った料理を皿に盛り付けてもらいつつ。所謂食べ歩きをしていた。

 今回のお披露目会の主役はボクなので、沢山の貴族に挨拶周りをして、あまり食べれなかったが……残念だ。


 人混みの中にいて少し疲れて来たので、テラスに出た。

 辺りはすっかり暗くなっていて、キラキラと輝く星々がはっきりと見えていた。

 ボクは、涼しみながら料理を食べていた。

 ちなみに、ボクの誕生日は十月十日で、日々少しずつ涼しくなっていっている。

 

 閑話休題(それはさておき)

 

 しばらく過ごしていると、同じ年頃の女の子がテラスに入ってきた。

 緑眼・緑髪・ポニーテールの髪型をしていて、可愛らしい女の子だ。

 誰だろうと思っていると、その子が話しかけてきた。


「こんばんは! 私、リア。リア・マコリスって言うの。あなた、たしかミリアちゃんだよね、とっても可愛いわね!」


 ……す、凄く元気が良いな、この子。


 ボクは、いきなり話しかけられたのと、元気の良さに圧倒されていた。


「あ、ありがとう……」


 何も言わないのは失礼だと思ったので、取り敢えずありがとうとだけ言っておいた。

 あれだ、この子絶対陽の人間だ。

 どうしようかと思ったが、ふと、『もしかしたらこれは友達を作るチャンスなのでは!?』という考えが浮かんできた。

 何を話せばいいのか分からなかったので、見た目を褒めることにした。


「あなたこそ、綺麗な髪色をしてるね。ボクはとても好きだな、その色」


 そう言うと、彼女……リアちゃんは不思議そうな顔をして言った。


「『ボク』?」


 ……しまった!

 

 つい、いつも通りに『ボク』と言ってしまった。

 この世界の一人称は、日本のように、『私』や『俺』などと同じ様な意味合いのものが多い。

 別に、言語が違うので『私』でもいいのだが、気恥ずかしくて、ついこの世界でも『ボク』と言ってしまっている。

 勿論、『ボク』という一人称は、基本的には男性が使うことがほとんどなので、現在女性であるボクが使うと変だと思われてしまうのである。両親にも直した方が良いと言われている。


 やらかした、変な奴だと思われた。そう思っていたが、リアちゃんは不意に吹き出した。


「あはは、あなた面白いのね! ねえ、お友達になりましょう?」


「……良いの?」


「ええ、もちろん! あなたと居るととっても楽しそうだわ!」


 こうして、今世初めての友達ができたのだった……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ