第5話
日曜日、いつもなら午後まで寝ているところだが今日は用事がある。
8時に起きた俺は、トースターで焼いたパンを齧りながら、テレビを見ていた。
『昨日、午後4時頃から、松本 楓ちゃん10歳の女の子が行方不明になっています。警察は捜索隊を結成し、現在も捜索を続けています。…』
どうやら、世間は物騒らしい。早く彼女が見つかることを祈りながらも、最後の一口を食べた。
﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉ ﹉
「ここか?」
俺は、淺間が渡した名刺に書いていた場所まで来ていた。見た目は完全に雑居ビルで、やはり怪しさの方が多い。
なので俺は、一応、警察に電話をできるようにスマホの電源を付け、ビルに入っていった。
ビルの中は意外と小綺麗で階段を上がると『A&Cトレード株式会社』という看板があり、名刺もその会社名を刺していた。
恐る恐る、俺は自動ドアのボタンを押し、中に入っていった。中もしっかりと綺麗でそこには可愛いらしい女性が受付に座っていた。
「あっ、もしかして黒田 歩さんですか?」
「あっ、そうです。」
「わぁ〜!ほんとに来てくれたんだ〜。私、黛 千春って言います〜。今日はよろしくお願いします。」
「あっ、こちらこそ。ところで淺間さんは?」
「いますよー。けど、ちょっと別の部屋で待っててくれますか?」
そう言って、彼女はそこまで案内した。
部屋に入ってみるとそこには全く知らない青年がいた。
目つきが悪く、サバサバした雰囲気だった。
「あのっ、黛さん…!」
そう言った時にはもう彼女はいなかった。
仕方ないので大人しく部屋に入り、椅子に座った。
「…」
「……」
「………」
沈黙が続き、あの青年も全く話すような雰囲気もなく、スマホをいじっている。
少し口が寂しのでライターで煙草に火を付けふかす。
やはり煙草は大人の醍醐味かもしれない。
「…」
「……」
「おっさん…」
「おい、おっさん!」
「なんだよ。」
「煙草くせぇんだよ。高校生いるのに普通吸うか?」
口を開いたかと思えば、タメ口か…。俺も反抗しようと思ったが、大人気ないと思ったので「いやぁ、癖なんだよ、すまん、すまん。」と言い、灰皿に煙草を押し付けた。
そして、また沈黙が続く。
そして数分後。
「いやぁ、すいません。黒田さん、大葉さん、そろそろ始めようと思います。」
そう言って、淺間が部屋に入って来た。
「じゃあ、そろそろ『精神交換計画』の話をしようと思います。」
「まず、1番最初に言おうと思うのが、2人には魂を入れ替えて1年間過ごして貰います。」
「「は?」」