頼れる親友
「どうしたら、彼らは僕が何もしていないと分かってくれると思う?」
傍にあった木箱に腰掛けながらネルソンは尋ねる。
「真犯人を探し出すしかありませんわ」
ネルソンと同じ結論にヒルダもすぐに達した。やはり、それが最善策なのかとネルソンは納得する。
ネルソンにとっては、クレアに嫌がらせをしている犯人が誰かなんてどうでもいいのだが、そのせいで自分がこんなにも迷惑を被っている状況では、これ以上放っておく訳にもいかなかった。
「問題は、今の僕が自由に動けないという事だ」
ネルソンは嘆息した。
「彼らの事だ。僕が事件の調査なんか始めたら、やれ証拠隠滅だ、やれ誰かに濡れ衣を着せるつもりだ、なんて騒ぎ出しかねない」
「それなら、わたくしの出番ですわね」
ヒルダが事も無げに言ってのけた。
「ネルソンさんの代わりに、わたくしが犯人を捕まえて差し上げますわ!」
「えっ、良いのかい?」
ネルソンが驚くと、ヒルダは「もちろんですわ」と言った。
「だって……ネルソンさん。わたくし、嬉しかったんですのよ。放火事件の時、ネルソンさんがずっとわたくしを庇ってくださっていた事。ドローレスさん相手にも、あなたは苦言を呈して……」
ヒルダの目が、一瞬とろんと輝いた。
「ですから、その恩を返したいのですわ」
「そうか……ありがとう」
ネルソンは嬉しい反面、ドローレスの事を思い出して、少し複雑な気分になった。
「ヒルダ……犯人が見つかったら、僕はドローレスさんに謝りに行こうと思うんだ」
ネルソンは、これ以上ドローレスとの関係が悪いままではいたくないのだと、正直にヒルダに話した。
「今はクレアのハーレムメンバーに付きまとわれていて、ろくに時間も取れないけど、でも、君が本当の犯人を見つけれくれたら、もう監視も終わるから……」
「あら、責任重大ですわね」
ヒルダが茶化した。
「それなら、早く犯人を炙り出す方法を考えてみましょう。となれば、こんなところで油を売っている暇はありませんわ」
「仕事はもう良いのか?」
さっさと片付けを始めるヒルダに、ネルソンは目を丸くした。「構いませんわ」とヒルダが返す。
「さあ、もう行きましょう、ネルソンさん。わたくし、もっと安全な隠れ場所をいくつか知っていますから」
ヒルダに促されるままに、ネルソンは木箱から立ち上がった。
「早く彼らの監視がなくなるといいですわね」
「ああ、まったくだ」
倉庫の外に出つつ、ネルソンは頷いた。
「本当に邪魔だよ。早くどこかに行ってほしい。こうして自由の身になってみると、何だか気分も軽くなったような……」
「何をしているの!」
怒声が飛んできて、ネルソンははっとなった。倉庫の外にいたのはドローレスだった。




