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ためらい

(ネルソンさん……何だか疲れているわ……)


 今日のネルソンは、何かの用事があって女子修道院に来ていたようだ。そこを遠目にたまたま目撃したドローレスは、彼の心配をしていた。


 ネルソンがクレアのハーレムメンバーにあらぬ疑いをかけられ、ずっとつきまとわれているというのは、すでに有名な話だった。現に今も彼の後ろには、ルースたちが取り巻きのようにぞろっとついて来ている。


 聞きかじったところでは、監視が始まってからというもの、ネルソンが一人で過ごしているのを見た者はいないらしい。ドローレスは皆が大げさに騒いでいるだけなのかと思っていたが、こうしてくたびれたネルソンの姿を見てしまうと、その噂は真実だったのだと思い直さざるを得なかった。


 しかし、ネルソンは身の潔白を主張しているようだった。ネルソンがやっていないというのだから、きっと彼は今回の事件には無関係なのだろう。少なくとも、ドローレスはそう信じていた。


(でも、他の人はそう考えていないのね……)


 こうして見ていても、誰もハーレムメンバーたちに監視なんて無駄な事はやめろと言う気配はなかったのだ。皆、ネルソンならクレアを呪っても仕方がないと思い込んでいるのだろう。


(私だけでも、こんな事は無意味だって言いに行くべきかしら?)


 しかし、考えるだけで結局は実行できず仕舞いだ。今、自分とネルソンは不仲になってしまっている。しかもその原因は、ドローレスにあるのだ。それなのに、のこのこと彼の前に出て行くような面の皮の厚さをドローレスは持ち合わせていなかった。


 つまらない嫉妬心からネルソンを怒らせてしまった事、ドローレスは心底後悔していた。本当はすぐに謝るべきだったのだろう。


 だが、そのタイミングをドローレスはことごとく失ってしまっていた。いざ彼のもとに行こうとすると、そこにはヒルダがいたり、クレアがいたりして、どうしても二の足を踏んでしまうのだ。


 もしかしたら、彼の方から謝りに来てくれないかな、などという都合の良い期待もしてみたが、そんな機会は訪れなかった。きっと、ネルソンはまだドローレスを許していないのだろう。だとするならば、謝罪したって受け入れてもらえないかもしれない。


 そんな悪い想像がどんどん重なって、ドローレスは結局何も出来ていなかったのだ。どうにかして仲直りするきっかけが欲しい。このままだと、不仲が続いた挙句、彼との恋も終わりを告げてしまうかもしれない。そんな風に考える度、胸が潰れてしまいそうになる。

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