告解
「わ、私たち修道女は、ヘンリエッテ様に言われていたんです。だ、誰かが鬼女様に嫌がらせをしても、放っておきなさいって」
まさかの言葉にドローレスが目を剥くのが分かった。ソニアはかぶりを振りながら、二の腕の辺りを擦る。
「それで……納屋の事についても、黙っているようにって言いつけられていました。あれは……放火、だったんです。……あの人の言う通りに」
ソニアの視線が、一瞬ネルソンの方に滑った。やはりソニアたちは納屋に火をつけた人物が誰かを知っていたのだ。
「私たちは、ヘンリエッテ様に釘を差されていましたから、何も話せませんでした。で、でも、あの人は、自力で犯人に辿り着いてしまって……」
「それじゃあ、やはりあのメリルとかいう修道女が犯人なんだな?」
ネルソンが確認の意味を込めて尋ねた。ソニアはおっかなびっくり頷く。
「私と……それから一緒にいたケイは、あの納屋で火の手が上がる時間の少し前に、メ、メリルが納屋の近くにいるのを見ていたんです。火をつけるところを見た訳ではありませんが……メリルは日ごろから鬼女様の悪口を言っていましたし、その時も枯れ枝とか、藁とかを抱えていましたから、彼女が火を放ったのは間違いない……と思います」
「……だがその事を、ヘンリエッテ修道院長は黙っているように言った訳か」
ネルソンの言葉に、ソニアは小さな声で「はい」と返事した。
「でも、それだけじゃないんです。今度は、ヘンリエッテ様は……べ、別の人を犯人に仕立て上げようと言い出して……」
その『別の人物』とは、ヒルダの事だったのだろう。ヒルダは、たまたまあの火災があったと思われる時刻に、納屋の近くで仕事をする事になっていた。そのため、ちょうど良いとばかりに白羽の矢が立ってしまったのだ。
「でも、私、そんなのどうしても耐えられませんでした」
ソニアが胸の前できつく指を組んだ。
「罪のない方に濡れ衣を着せる事も、真犯人を庇って嘘を吐き続けるのも……。そんな事が正しい行いだとは、どうしても思えなかったんです」
「ソニアは、毎日のように聖堂で懺悔をしていたそうですよ」
モリスが厳格な表情を少し和らげて、ソニアの背をさすった。
「そしてついに覚悟を決め、わたくしにこの事を話しに来たと言う訳です。……お分かりですか、ヘンリエッテ。あなたの犯した罪が」
許しがたい事です、とモリスは毅然と言い放った。
「これでもまだ、白を切りますか?」




