再会
その拍子に、奇妙なものが視界に入ってくる。この辺りの土壌は水捌けが悪いのか、昨日の雨のせいで地面がぬかるんでいた。その地面に、ネルソンの拳より少し小さいくらいの四角い跡が、間隔を空けて二つ付いているのだ。
泥の上についたそれを、ネルソンはじっと見つめた。何かがここに置いてあった痕跡のように見えた。
だが、それが何なのかは分からなかった。ネルソンは、今度は何気なく上を向く。
ふと、雨どいが壊れているのに気が付いた。かなり昔に設置されたものなのか、古くなってところどころ腐食し、今にも落ちてきそうだ。もし下に人がいたら、いつか事故が起こるかもしれない。早く修理した方が良いのでは――。
ネルソンは、雷に打たれたかのような衝撃を受けた。ドローレスは、宿舎の東棟へ行く姿が目撃された。では、彼女は、一体何をしにそこへ向かったのか? もしかすると、何かの修理を頼まれていたのではないだろうか。
「ドローレスさん!」
ネルソンは、考えるより早く頭上に向けて声を張り上げていた。
「ドローレスさん! そこにいるのか!?」
果たして、その呼びかけに応える姿があった。
「ネルソンさん……?」
疲れ切った様子のドローレスが、屋根の上からこちらを覗き込んでくる。眼下に視線を遣ったドローレスは、顔を引きつらせるとすぐに引っ込んでしまった。ドローレスは、高い所から下を見るのが苦手なのだ。
だが、ネルソンにはそれだけで十分だった。「少し待っていてくれ!」と言って、その場を離れる。
ネルソンは近くにあった物置から梯子を取ってくると、宿舎へ戻って、先ほど自分が立っていたところにそれを設置した。ぬかるんだ地面に梯子の跡が付く。それは、先程ネルソンが見つけた謎の跡と酷似していた。




