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ドローレスはどこに?

 だが、書庫にもドローレスの姿はなかった。代わりにいたのはヒルダだ。彼女は本を読んでいるところだった。


「えっ、いないのですか? ドローレスさんが?」


 ネルソンが書庫に来た理由を話すと、ヒルダは意外そうに首を傾げた。


「ここには来ていないと思いますわ。わたくし、随分前からここで本を読んでいましたけれど、ドローレスさんを見かけていませんもの」


 では、どこに行ったのだろうか。この大修道院は広いので、探すとなると少々厄介だ。


「待ち合わせか何かはしていなかったのですか?」

「いや、していたよ。でも、本当は午後からだったんだ」


 ネルソンの受け持ちの仕事が思ったより早く終わったので、ドローレスを手伝おうと、約束の時間を前倒しして女子修道院に来たのだ。しかし、その事をドローレスは知らないはずだ。


「本来の約束が午後からなら、その時間まで待てばよろしいのではなくって?」

 ヒルダが提案する。


「下手に探し回っても、行き違いになるだけかもしれませんもの」

「それは……確かにそうか」


 ヒルダの言う事ももっともだ。それに、どこにいるのか見当もつかない以上、探しようもない。ここは大人しく男子修道院に帰る事にした。


 しかし、午後になり、約束の時間が訪れても、ドローレスは待ち合わせ場所に現れなかった。今まで彼女が約束をすっぽかした事なんて一度もなかったのに、とネルソンは不可解に思う。


(もしかして……何かあったのか……?)

 そんな不吉な考えが脳裏をよぎって、ネルソンは落ち着かない気持ちになった。


「ドローレスさん、いらっしゃいまして?」


 そわそわしているネルソンに、ヒルダが声をかけてきた。たまたまこの近くで用を済ませた帰りらしい。


 ネルソンは、ヒルダに約束の時間と場所を教えていた。ヒルダは、何となく気になって少しここに立ち寄ってみる事にしたようである。


「それが、どこにもいなくて……」

「そうなのですか……」

 ヒルダも困ったような顔になる。


「何だか気になりますわね。今度は、きちんと探す方がいいかもしれませんわ」


 どうやらヒルダも手伝ってくれる気らしい。しかし、この大修道院は広い。たった二人だけでは人手不足だ。


 だが、協力者を募ろうにも、上手くいかないだろう。青嵐の鬼女を探すのを、一体誰が手伝ってくれるというのか。


「あら、ネルソンさんではありませんか」


 ネルソンが困り果てていると、ある人物がひょっこりと顔を出す。そちらの方を見るまでもなく、それが誰なのか分かったネルソンは、顔をしかめた。まったく、どうして彼女は自分のいるところに高確率で現れるのだろう。


 そこにいたのは、案の定クレアだった。後ろには、取り巻きのように四人のヒーローを引きつれている。と言うよりも、彼らが勝手について来ていると言うべきか。


 ヒーローたちは、この大修道院に来てからずっと、クレアにべったりだった。ネルソンと目が合ったカルヴァンが陽気に手を振ってきたので、思わず苦笑いしてしまう。


 クレアは案外元気そうだった。噂では、あの事件以来塞ぎこんで食事も喉を通らなくなっていると聞いたが、こうして会ってみると、血色も良いし、やつれてもいない。それどころか、至って健康そうに見える。やはり人々の言う事など、当てにならないようだ。

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