新しいハーレム
「クレアはどうしたの……?」
「クレア?」
何が何だか分からずにドローレスが尋ねると、いかにも小馬鹿にしたような口調でセシルが鼻を鳴らした。
「あんな娘の事はもう気にするな。我々が愛しているのは、本物の聖女であるドローレスだけだ」
セシルはドローレスの手のひらに視線を落とした。そこにあるのは青のイヤリングだ。
「さあ、それをつけてくれ」
セシルがドローレスの手を握ってきた。大胆な行動にドローレスがぎょっとしていると、見かねたようにネルソンが割って入ってくる。
「帰ってくれ」
家の周りをうろちょろする野良猫を追い返すような口調でネルソンが言った。
「そういう訳にはいきません」
ルースが抗議の声を飛ばす。
「我々は新たにドローレスのハーレムを構築する事になりました。これは決定事項です」
「私のハーレムですって!?」
ドローレスは自分の知らないところでとんでもないものが作られていたと知って、愕然となった。
「いらないわ、そんなもの! 作ってくれなんて私、頼んでないわ!」
「ドローレス、真の聖女たる者、ハーレムくらい持っていて当然なんだ」
セシルがなだめるような声を出す。
「我々に愛されれば、聖女の力が強くなる。素晴らしい事だぞ、それは」
「あなたたちからの愛なんていらないわよ」
ドローレスはまだ衝撃も覚めやらぬままに首を振ってみせた。
「私はネルソンさんがいればいいの。他の人からの愛なんてどうでも良いわ」
「心配するな。ちゃんとあの男も一緒さ」
ロビンがネルソンの方を顎でしゃくる。
「その通り。何の心配もいらない」
カルヴァンがうんうんと頷いて、ネルソンの肩をぽんぽんと叩いた。
「ネルソン君。君もちゃんとハーレムに入れてあげるからね。ただし、ドローレス様を独り占めする事は許されないよ? 彼女は我々皆のものだ」
「どうして僕がドローレスさんを他の男に渡さないといけないんだ」
ネルソンが不快そうにカルヴァンの手を振り払う。
「ドローレスさんだって迷惑がっているだろう。分かったら早く帰れ」
「私たちの帰るところはドローレスのところだ!」
ネルソンとハーレムのメンバーは、入り口付近で睨み合ったまま動かなくなってしまった。




